2019年8月23日(金)

AI起業家、岡野原(36)の多次元頭脳
はみ出せ学界! ハカセが挑む(1)

はみ出せ学界!ハカセが挑む
(3/3ページ)
2019/2/24 2:00 (2019/2/25 2:00更新)
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■「広く深く」がなぜ可能か

研究室の後輩で、岡野原を慕ってPFNに入社した海野裕也(35)は敬意を込めて「岡野原は3人いる」と冗談を言う。あまりに多くのことを詳しく知っているので、実は三つ子ではないかとの例えだ。

なぜ「広く深く」が可能なのか。岡野原の言葉にヒントがある。「博士課程では専門分野を学ぶことより、学び方を覚えることに意味がある」。学び方はどんな分野にも応用が利く。

海野裕也は人気アニメ「ドラゴンボール」を引き合いに「自分は地球人、岡野原はサイヤ人」と例える

海野裕也は人気アニメ「ドラゴンボール」を引き合いに「自分は地球人、岡野原はサイヤ人」と例える

異分野を学び、交じり合うことに純粋なおもしろさを感じる一方で「イノベーションが起きるのは大半の場合が他分野の技術を持ってきて、融合させたときだ」との信念もある。近年、医工連携など異分野の融合がイノベーションの源泉とはよくいわれるが、岡野原は学生の頃から気づいていたのだろう。

そんな岡野原だからこそ、現在の大学が抱える問題点がよく見える。「色々な専門分野ができているが、たこつぼ化している」。同社が理念とする「learn or die(死ぬ気で学べ)」にも技術トレンドの移り変わりが早い現在、一つの技術だけを囲い込んでも限界があり、常に環境に合わせて変わり続ける必要があるとの思いを込めた。

岡野原は「learn or die」を掲げ、学び続ける重要さを訴える

岡野原は「learn or die」を掲げ、学び続ける重要さを訴える

■「岡野原頼み」にはらむリスク

優秀な人材をPFNに引きつける中心に岡野原がいるのは間違いない。ただ、それは企業として「岡野原頼み」のリスクとも紙一重だ。海外のIT企業から転職してきた人のなかには給料が下がる例もあり、PFNで働くことの魅力を高く保つ必要がある。規模が大きくなるほど、創業者たちだけでは社内全体に目が届きにくくなる。岡野原も「会社が大きくなっても一人ひとりをしっかり評価できるかが会社の競争力を左右する」と話す。

PFN、そして岡野原はこれからどんな道を進むのだろうか。まず有望と考えるのが自動車、ロボット、医療の3つ。「今の深層学習は一般の人にはほとんど生かされていない。AIの技術をインパクトのある形で広く提供するには、実世界で動くものが必要」と話す。この構想を実現するためにトヨタなどの大手企業と手を組んだ。

とはいえ常に最先端を求めて変わり続ける岡野原にとって、深層学習も通過点にすぎないかもしれない。「ほかに本当に必要なものがあったら、それに乗り換えることだってあり得る」と認める。「グーグルにとってのインターネット、マイクロソフトの基本ソフト(OS)と同じようなものを作りたい」。岡野原の信念は変わらない。

=敬称略、つづく

(大越優樹)

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