アップル、ニュース配信元と売り上げ「折半」主張
計画中の定額制サービスで
【シリコンバレー=白石武志】米アップルが今年後半に始めるとされる定額制のニュース配信サービスについて、参加を交渉中のニュース配信元に対し利用者からの収入の約5割の取り分を主張していることが12日、わかった。一般的なアプリ配信サービスの手数料は最大でも売上高の3割とされており、アップルの強気の姿勢はニュース配信元の反発を招く可能性がある。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米メディアが12日、関係者の話として報じた。アップルは複数の米メディアとの交渉の中で、加入者から得られる収入の約5割を自社が受け取ることを主張し、残りは利用者が記事を読むのにかけた時間に応じてニュース配信元に配分するしくみを提案しているという。
アップルが交渉の際に示した条件では、ニュース配信元はクレジットカード情報や電子メールアドレスなどの加入者情報を閲覧できないことになっているという。ニュース配信元にとっては自前の顧客基盤の開拓につながらないため、米メディアの間ではアップルの条件を受け入れるニュース配信元は限られるとの見方も出ている。
定額でニュースが読み放題となるサービスは、アップルの自前のニュースアプリの新機能として追加されると見込まれている。月額料金は明らかになっていないが、米メディアでは月額10ドル前後になる可能性があると報じられている。一連の報道について、アップルの広報担当者は日本経済新聞社の問い合わせにコメントを拒否した。
アップルは中国景気の減速などで主力のスマートフォン「iPhone」が販売不振に陥り、2018年10~12月期決算は9四半期ぶりに減収になった。今後はアプリ配信やクラウドサービスなど端末上の各種サービスに力を入れる方針を示しており、定額制のニュース配信もその有力な柱の一つとして注目を集めている。