【ワルシャワ=中村亮】ポンペオ米国務長官は12日、ドイツがロシアから天然ガスを輸入するために計画するパイプラインについて「安全保障上の大きなリスクがある」と語り、建設に反対する考えを強調した。「トランプ大統領は権限の範囲内でできることをすると非常に明確にしている」と指摘し、計画に参画する企業への経済制裁も辞さない構えを見せた。
ポンペオ氏が同日、訪問先のポーランドの首都ワルシャワで開いた記者会見で明らかにした。ポンペオ氏がやり玉にあげたのは、ドイツがバルト海の海底にパイプラインを建設し、ロシアから大量の天然ガスを購入する計画。ロシアがエネルギー供給を盾に欧州に対して政治的な影響力を行使する懸念があり、ポーランドは同計画に反対してきた経緯がある。
トランプ政権はこれまでも同計画に難色を示してきた。トランプ大統領は2018年7月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、ロシアへのエネルギー依存度が高まれば「ドイツはロシアの捕虜になるようなものだ」と酷評した。米国は自国産の液化天然ガス(LNG)の販売を増やし、欧州に対する貿易赤字の削減を目指している面もあり、パイプライン計画に反対姿勢を強めている。
17年8月に米国で成立した対ロ制裁強化法では、パイプライン計画についても経済制裁の対象になりうるとした。計画にはウクライナやバルト地域の国も反対している。ポンペオ氏は11日からハンガリーやスロバキア、ポーランドを訪問し、ロシアや中国の影響力拡大をけん制している。