2019年2月20日(水)

復調マック、消費増税の試練 税率高い店内飲食に懸念

小売り・外食
2019/2/12 23:15
保存
共有
印刷
その他

日本マクドナルドホールディングスの業績回復が鮮明だ。12日発表した2018年12月期の全店売上高は前の期比6.9%増の5242億円と、14年の鶏肉偽装問題などで落ち込む前の水準を上回った。店舗改装などをテコに客数が回復し、成長軌道に入ったかに見えるが、10月には消費増税が控える。持ち帰りで軽減税率が適用されるコンビニエンスストアなどとの競争が激しくなりそうだが、集客力を維持できるのか。

決算発表する日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長(12日午後、東証)

決算発表する日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長(12日午後、東証)

「回復から持続的成長の段階に来た」。サラ・カサノバ社長は12日の記者会見でこう強調した。居心地の良くなるような店舗への改装や消費者参加型のキャンペーンでV字回復を達成した成果に自信を深めている。中期経営計画で掲げた「全店売上高で年平均5%以上の成長」も堅持する。

しかし、社内では「今後も5%の成長を続けるのは簡単ではない」との声があがる。客数が想定以上に増えてランチ時間帯が混雑し、満足度の低下などにつながっている店舗もあるからだ。

こうしたなか、10月には消費増税が控える。店内飲食は消費税率が10%の一方、持ち帰りは8%と軽減税率が適用される。日本マクドナルドはもともと店内飲食のお客が多い。混雑した店舗で並ぶうえに税率も高いとなると、「胃袋」を奪い合うライバルで持ち帰りが主体のコンビニに消費者を奪われかねない。

政府の消費増税対策も逆風となりそうだ。セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニ大手3社は、政府が導入するポイント還元策を全店で実施する。キャッシュレスで決済すれば2%のポイントがたまる。

一方、大企業の直営店はポイント還元策の対象にならない。日本マクドナルドがコンビニに対抗しようとした場合、本社が還元分を補填する必要がある。コンビニ業界は直営店比率が3%だが、日本マクドナルドは約3割。より多くの費用負担が発生することになる。

休日のランチ時間帯は混雑度合いが高まっている(都内の店舗で)

休日のランチ時間帯は混雑度合いが高まっている(都内の店舗で)

日本マクドナルドも手をこまぬいているわけでない。「未来型店舗」と呼ぶ実証実験を沖縄県で進めている。接客専門の店員の配置や、子供連れやシニアが手ぶらで着席できるよう、商品を座席まで届ける仕組みを導入。スマートフォンによる事前注文で並ばずに商品を受け取れるようにもする。

日本マクドナルドはかつて「100円マック」など、価格を軸にした集客策を多く展開してきた。消費増税が近づくなか、今回は価格でなく総合的な顧客満足度を高めて乗り切ろうとの戦略だ。

カサノバ社長は12日の会見で、業績回復に「まだ満足していない」と語った。増税という逆風にも耐えて成長路線を本物にできるか。社長就任から6年目を迎える同氏の真価が問われる。(川名如広)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報