日清を「挑発」した男 セブンの銘店ラーメン作戦
あなたの知らないコンビニ(1)

あなたの知らないコンビニ
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2019/2/15 2:00 (2019/2/18 2:00更新)
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全国に5万店以上、年間の来店客数は170億人を超える日本のコンビニエンスストア。インターネットとともに生活インフラとなり、あなたをいつも優しく出迎えてくれる。そんなコンビニの裏側では進化を求めたサバイバルが繰り広げられている。あなたの知らないコンビニの世界に招待しよう。

人気ラーメン店「中華蕎麦とみ田」監修の「中華蕎麦とみ田監修豚ラーメン」

人気ラーメン店「中華蕎麦とみ田」監修の「中華蕎麦とみ田監修豚ラーメン」

■有名ラーメン店とコラボ

コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパン。1店舗あたりの1日平均売上高は約66万円。実は2位のローソンより2割以上高いのをご存じだろうか。他社も認めざるをえないこの差を生んでいるのが商品開発力だ。ラーメンを例にとってみよう。「コンビニのラーメンなんて、お金のない時の……」という先入観は覆る。

ジロリアン必見――。1月末から、SNSで人気沸騰したレンジ麺「中華蕎麦とみ田監修豚ラーメン(豚骨醤油)」。太麺と濃厚なしょうゆベースでニンニクの風味の効いたスープが人気店「ラーメン二郎」のようだと評判を集める。

蒙古タンメン中本はカップ麺「銘店シリーズ」に

蒙古タンメン中本はカップ麺「銘店シリーズ」に

■累計販売5億個

カップ麺では銘店シリーズの「蒙古タンメン中本」。辛味とうま味の絶妙なバランスが人気だ。2月下旬には一部店舗で期間限定で販売していた「北極ブラック」が登場する。中本ファンにとっては幻の味だ。昨年8月からセブンイレブンと中本が数十回の試作を繰り返し発売にこぎつけた。

全国の有名ラーメン店とコラボした銘店シリーズはほかにも「山頭火」など約10品目。累計販売個数は5億個を超えるが、その第1弾が2000年に発売した札幌発祥の味噌ラーメン「すみれ」だ。

すみれの味噌ラーメンは濃厚でコクのあるスープが特徴だ

すみれの味噌ラーメンは濃厚でコクのあるスープが特徴だ

■セブン取締役と「すみれ」店主

今年2月13日、すみれが横浜市のJR桜木町駅周辺の一画に横浜店を開いた。唯一の北海道外の店舗だ。オープン前日、ある人物がこの店を訪れた。セブンイレブンで取締役商品本部長をつとめる石橋誠一郎(52)だ。すみれ店主の村中伸宜(61)に会って祝福を伝えると、村中は石橋にすみれラーメンを振る舞った。

「麺がすごくすっきりしてますね」と石橋。「そのかわり日持ちはしない麺なんだよ。やっぱりね、消費者はわかってる。同じ味のままではダメで絶えず合わせて変えていかないと」と村中は返す。今から20年前、この2人の出会いがカップラーメンの新たな歴史を切り開いた。

セブンーイレブン・ジャパン取締役の石橋氏(左)とすみれ店主の村中氏

セブンーイレブン・ジャパン取締役の石橋氏(左)とすみれ店主の村中氏

■欠けていたピース

福岡県出身の石橋にとってなじみのラーメンと言えばとんこつ味。ところが札幌出張で食べたすみれに衝撃を受けた。「こんなにおいしい味噌ラーメンがあるのか」。ぜひセブンイレブンの棚に並べたい。最初はそんな衝動だった。

石橋はこれより前に「ラーメンの王道」をヒットさせている。東洋水産、明星食品、エースコックと組み、横浜や和歌山などご当地ラーメンと銘打った初のカップ麺の専用ブランドだった。

だが大事なピースが欠けていた。最大手の日清食品だ。日清には「小売り専用の商品はやらない」と断られていた。

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