2019年4月23日(火)

イラン、保守強硬派主導が鮮明 革命40年で国威発揚

中東・アフリカ
2019/2/12 21:30
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【テヘラン=岐部秀光】イラン国内の政治や経済を反米の保守強硬派が主導する構図が鮮明になってきた。米国の経済制裁復活が市民生活を直撃し穏健派の影響力が低下する一方、既得権益を握る強硬派は閉じられた経済の中で利益基盤を再び固めつつある。トランプ米政権の意図とは逆に、イラン外交も対立的な路線に一段と傾斜するおそれがある。

イラン革命40年の式典で演説するロウハニ大統領(11日、テヘランのアザディ広場)=ロイター

「米国に死を! イスラエルに死を!」

親米のパーレビ王政を打倒したイスラム革命から40年の記念日に当たる11日、首都テヘランでは政府が動員したとみられる兵士や学生ら数十万人が行進した。国内のテレビやラジオは一日中、関連番組を流して40年前の偉業をたたえるなど、保守強硬派による国威発揚の機会となった。

本来は穏健派であるはずのロウハニ大統領の演説も強硬な面が目立った。米国だけでなく欧州からも懸念の声が上がるミサイル開発について「どこの国の指図も受けない」と述べ、続けると表明した。

トランプ政権が離脱を一方的に表明したイラン核合意をめぐって、イランは米以外の当事国である英独仏中ロとともに合意を維持するための道をさぐってきた。

イランが米制裁回避の頼みとしてきた欧州連合(EU)による決済機関「インステックス」は制裁復活からおよそ3カ月遅れで発足した。しかし、ザンギャネ石油相は2月、米政府が制裁の適用除外にしたはずのイタリアやギリシャが「イランから石油を輸入していない」と批判した。

原油取引がなければ決済機関は機能しない。国際社会との協調を訴えてきたロウハニ大統領ら穏健派は米の核合意離脱だけでなく、欧州の非協力的な対応でメンツを失いつつある。「米国を信頼してはならない」と核合意に反対してきた保守強硬派の主張は説得力を増した。

経済面でも米の制裁が強硬派の追い風になっている。核合意に伴う外国企業のイラン市場参入で、建設事業や自動車生産、油田・ガス田開発など幅広い経済活動を手掛けてきた強硬派傘下の宗教財団は激しい競争にさらされるおそれがあった。しかし、国際的な孤立が深まるなかで最高指導者ハメネイ師が主張する「抵抗経済」への移行が進み、宗教財団は既得権を強めている。

イランは国内の政治が外交に反映しやすい国だ。強硬派が影響力を持つイスラム教シーア派の民兵組織がシリアやイエメン、イラクなどで挑発的な行動に出るリスクが高まる。高齢のハメネイ師の後継レースでも、保守強硬派が優位を固めた可能性がある。

米国の対イラン強硬派は、制裁を強めることでイラン民衆の怒りの矛先を革命で生まれた政教一致の体制に向けようとした。しかし近隣のシリアやイラクで秩序の崩壊がどれほど悲惨な状況を招くかを目の当たりにした人々は「民衆革命」に大きな期待を抱いていない。79年の革命もパーレビ王政下の腐敗や格差への人々の不満で始まったが、結果として生まれた体制は人々の予想を超えるものだった。

イランの行方に望みを失った人々は国を逃れる道を選んでいる。国際通貨基金(IMF)の09年の調査報告によると、高等教育を受けたイラン国民の海外流出は世界でも最悪で、年15万~18万人の専門家が国を後にしている。

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