グッチが黒いセーターの販売中止、「黒人差別」批判受け
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【ジュネーブ=細川倫太郎】イタリアの高級ブランド、グッチの黒いセーターが黒人を侮辱しているとの批判を集め、同社は販売を中止した。7日、公式ツイッターで「深くおわびする」と謝罪し、オンラインストアと実店舗から商品を撤去した。このところ高級ブランド業界では、差別的な表現と問題視される商品や広告が相次ぎ、消費者の不信感が高まっている。
グッチが販売をとりやめたのは女性向けのタートルネックの黒いセーター。口元まで覆えて、大きな赤い唇で縁取られた穴がある。これを見た女性が写真と批判のコメントをツイッターに投稿。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では「黒人の顔に似ている」「決して受け入れられない」などと反発する声が一気に広がった。グッチは「今回の出来事を大きな教訓にしたい」としている。
ここ数カ月間、高級ブランドでは同様の理由で販売中止に追い込まれるケースが相次いでいる。2018年12月にはプラダが販売したキャラクター製品に対し「黒人を侮辱している」との批判が殺到した。同社はただちに販売を中止した。
ドルチェ&ガッバーナ(D&G)は動画広告でアジア系の女性が不器用に箸を使って、ピザやパスタを食べようとする映像を流した。中国人への差別表現として反感を買い、中国では主要なネット通販でD&Gの商品の販売中止や、不買運動に発展した。
個人消費の好調や、海外観光客の増加を背景に高級ブランド業界の収益は好調だ。グッチは特に米国などで若者の人気が高まっている。ただ、今回のような騒動をきっかけにブランドへの信頼感が低下すれば、業績に打撃となる可能性もある。