2019年6月26日(水)

富士フイルム、膠着1年 ゼロックスとの関係示せず

2019/2/7 22:13
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富士フイルムホールディングスが7日発表した2018年4~12月期の連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年同期比29%増の1583億円だった。事務機子会社の人員削減などの構造改革が奏功し、事務機事業の採算が改善した。業績は好調だが課題は膠着状態が続く米ゼロックスの買収だ。買収合意から1年がたち実現は難しくなり、ゼロックスとの長期的な関係を示すめどは立っていない。

膠着するゼロックス買収について説明する富士フイルムホールディングスの助野健児社長(7日、東京都中央区の東証)

「双方の取締役会が全会一致で決めた契約の執行を迫る」。富士フイルムの助野健児社長は7日の決算会見で従来の主張を繰り返した。ゼロックスによる契約破棄に対して起こした損害賠償請求の訴訟は継続する考えを示した。

富士フイルムは18年1月末にゼロックスと買収計画で合意した。富士フイルムが持つ富士ゼロックスの75%の株を対価にゼロックスに過半出資する。この枠組みにカール・アイカーン氏らゼロックス大株主が「ゼロックスの価値を過小評価している」と反発した。

ゼロックス側は18年5月に買収契約を結んだ経営陣が退任し、アイカーン氏らが推薦した経営陣が就任すると、買収契約を一方的に破棄。これに対し、富士フイルムは損害賠償を求めてゼロックスを提訴した。ゼロックスのジョン・ビセンティン最高経営責任者(CEO)は富士ゼロックスと結ぶ販売に関する既存の契約を期限以降は更新しない意向を表明し、対立が激化した。

富士フイルム経営陣は18年11月、ゼロックスのビセンティンCEOと会談し、ゼロックス側から今後の関係について提案があれば話し合いに応じると伝えた。だが、ゼロックスは今月5日(米国時間)、株主向け説明会で21年までの中期経営計画を発表したが、買収への言及はなし。助野社長も決算会見で「(ゼロックスから)何の返事もきていない」と不満げに語った。

富士フイルムの古森重隆会長は買収の実現が「難しくなった」と認める。事務機器の市場はペーパーレス化などで長期的な成長が見込めない。膠着状態が続けば、競争で守勢に回りかねない。

危惧していた既存の契約解消は避けられる可能性はある。ゼロックス経営陣は株主向け説明会で現時点で契約を更新するかどうか明言を避け、「富士ゼロックスは主要なサプライヤー」「関係はむしろ緊密になっている」とも話し、歩み寄りも見せる。

競合他社はこの1年で手を打っている。リコーは複合機と従量課金制のクラウドプラットフォームを組み合わせたサービスを開始。コニカミノルタはIT(情報技術)機能を搭載した事務機器の展開を強化している。

片や、ゼロックス買収は本来なら18年秋に完了する予定で、拠点の統廃合などの効果を見込んでいた。富士フイルムは買収後に新たな中期経営計画を示す予定だったが実現せず、ゼロックスは代わりに単独の中期戦略を示した。富士フイルムは長年のパートナーとの関係が宙に浮いた状況が続く。

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