三井E&S、新社長に機械子会社の岡氏 改革加速へ

2019/2/7 18:51
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三井E&Sホールディングスは7日、機械事業子会社である三井E&Sマシナリーの岡良一社長(60)が4月1日付で本体の社長に就任すると発表した。2代続けて「非造船」からのトップ起用となる。祖業の造船は苦戦が続き、エンジニアリング事業は海外工事で多額の損失を被った。田中孝雄社長(68)の構造改革は道半ば。新社長は改革の加速が課題となる。

三井E&Sホールディングスの社長に就任する岡氏(右)と会長に就く田中社長

「かならずや苦境を突破してグループを引っ張ってくれる」。7日に開いた記者会見で、田中社長は改革を引き継ぐ岡氏を激励した。田中社長は会長兼最高経営責任者(CEO)として、社長兼最高執行責任者(COO)として経営を指揮する岡氏を補佐する。

創業102年を迎えた三井E&SHDの経営状況は非常に厳しい。2019年3月期の最終損益予想は430億円の赤字。赤字は2期連続、金額では過去最悪となる見通しだ。「就任前後に受注した海外プラントで損失が発生し、財務体質を毀損した。極めて遺憾だ」。田中社長は記者会見で悔しさをにじませた。

前身の三井造船が川崎重工業との経営統合を模索し、破談となったのは造船不況の真っただ中の13年。同年に就任した田中社長は単独での生き残りを目指し、自前主義からの脱却など抜本的な改革を進めてきた。

18年には持ち株会社制に移行して各事業の機動性を高めた。造船では専業大手の常石造船と提携し、中国大手揚子江船業との合弁設立を決めるなど、従来の枠にとらわれない改革に踏み切った。田中社長も「利益率にこだわる意識改革はかなり進んだ」と語る。

一方で、米国で受注したエチレンガスプラントがシェールガス開発の活況による労働者不足で工期が大幅に遅れた。インドネシアの火力発電プラントの工事では設計時の想定の甘さから強度不足が判明し、やり直す事態に陥った。成長に向けた体制の整備は整いつつあったものの、技術力や監督力などの「現場力」が低下していた。

岡氏は船舶用ディーゼルエンジンの技術者で、一貫して機械事業に携わってきた。収益性が悪かったエンジン保守サービスを軌道に乗せるなど、不振事業の立て直しの経験もある。田中社長は「非常に堅実。地に足が着いており、厳しい環境下のリーダーにふさわしい」と、現場力の再生に期待する考えを示した。

岡氏は「田中社長がレールを敷いた改革をさらに進める」と述べた。7日の日本経済新聞社のインタビューでは、エンジニアリングや造船の改革について「聖域を設けずに検討する」と語った。

すでに撤退を表明している海外でのプラント建設事業に加え、国内の化学プラント事業からの撤退の可能性にも言及した。「千葉事業所での造船事業のあり方も重要な問題だ」と語り、他事業への転換が検討課題に挙がっているもようだ。

(朝田賢治)

岡良一氏(おか・りょういち) 81年(昭56年)東大工卒、三井造船(現三井E&Sホールディングス)入社。17年取締役常務執行役員。18年三井E&Sマシナリー社長。岡山県出身

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