2019年2月19日(火)

納期迫り検査データ改ざん、免震制振装置 川金HD調査報告書

社会
2019/2/7 18:44 (2019/2/7 19:44更新)
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川金ホールディングス(HD、埼玉県川口市)子会社の免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、川金HDは7日、調査報告書を公表した。子会社は顧客の要求に対応できる技術力がない中で、納期を優先するあまり検査データを改ざんしたと指摘。改ざんが長年行われた背景として、技術者の規範順守意識の著しい欠如や品質管理体制の不備があったとした。

川金HDの鈴木信吉社長は「一日も早い信頼回復と再発防止策を遂行していく」と述べ、月額報酬の50%を2月から3カ月間自主返上すると明らかにした。

同社によると、検査データの改ざんが行われたのは2001年2月~18年9月に出荷された免震装置9件と制振装置105件。免震装置は東京と大阪の倉庫や病院、制振装置は教育施設など26都道府県に設置されており、現在、装置の交換作業を進めているという。

報告書によると、子会社の光陽精機(茨城県筑西市)は2000年当時、油圧シリンダーの製造ノウハウしかなく、オイルダンパーを一から開発した。担当したのは設計課の2人のみで、約半年という短い期間で開発に成功した。

ダンパー事業は2人に過度に依存し、チェック体制や監督機能がなくブラックボックス化した。しかし、2人は他社の図面を参考に見よう見まねで開発したにすぎず、ダンパーの豊富な知識や経験はなかった。その結果、技術的課題を2人のみで解決することを強いられ、品質性能の責任や規範順守意識が希薄化し、納期が迫る中で検査データを改ざんした。

その後、同じく子会社の川金コアテック(CT)がダンパーの営業販売部門を担当したが、川金CTは光陽精機に確認しないまま、顧客に仕様や納期を約束した。

1979年に川金グループ入りした光陽精機の幹部には「川金CTの依頼は断れない」との意識があり、無理があったとしても断れないものとして甘受した。最終的に改ざんは計5人が関与し、「性能には問題がない」などと引き継ぎを受けた社員もいたという。

免震・制振装置の検査データ改ざん問題は昨年10月、シェア1位のKYBと2位の川金HD子会社で相次いで発覚した。国土交通省の有識者会議は年度内に再発防止に向けた国への提言をまとめる方針だ。

オイルダンパーは油の摩擦抵抗を利用して地震の揺れを吸収する。大まかに2種類あり、一つが制振ダンパーで建物の壁や床などにはめ込まれている。もう一つが建物の地下を支える部分に使われる免震ダンパーで高層ビルなどに使われる。

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