2019年7月23日(火)

R・シュトラウス 聴き比べ 在阪4楽団(もっと関西)
カルチャー 没後70年で共同企画

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/2/8 11:30
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大阪の4つのオーケストラが連携を深めている。2019年度の共同企画として、没後70年を迎えるリヒャルト・シュトラウス(1864~1949年)の作品を各楽団が定期演奏会で取り上げる。クラシックファンの回遊を促すことで大阪の楽壇を盛り上げる。

「大阪4大オーケストラの響演」でファンファーレを奏でる各楽団の奏者(2018年4月、大阪市北区)=朝日新聞文化財団提供

「大阪4大オーケストラの響演」でファンファーレを奏でる各楽団の奏者(2018年4月、大阪市北区)=朝日新聞文化財団提供

R・シュトラウスはドイツ・バイエルン出身の後期ロマン派を代表する作曲家。第2次大戦後に死去するまで、交響詩やオペラで数多くの作品を残した。

■曲の重複なくす

大阪交響楽団は若手の川瀬賢太郎が交響詩「ドン・ファン」などを指揮する。川瀬と大阪響は昨年7月の定期で共演。シュトラウスの楽劇「ばらの騎士」の抜粋版を演奏会形式で好演しており、コンビのさらなる進化が期待される。

今回もバイオリニストと指揮者の2つの顔を見せるのが関西フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、オーギュスタン・デュメイだ。自らバイオリン・ソナタを弾き、「メタモルフォーゼン(変容)」で指揮棒を振る。デュメイは「各楽団の音色を比べることで、聴衆の聴く耳も育てることにつながるのではないか」と企画の意義を強調する。

日本センチュリー交響楽団は、関西フィル桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎が「ばらの騎士」組曲を指揮する。大阪のオケでは指揮者の掛け持ちがないことが慣例のため、珍しい企画だ。飯守が得意とし、シュトラウスに影響を与えたワーグナーと組み合わせたプログラムにも注目が集まる。

音楽監督の尾高忠明とともに、初期の「13管楽器のためのセレナード」や最晩年の「四つの最後の歌」といった幅広い音楽を奏でるのは大阪フィルハーモニー交響楽団。尾高は「シュトラウスは天才中の天才。演奏するのは難しいが、それを乗り越えれば素晴らしい音楽が表現される」と意欲を燃やす。尾高と大フィルは6月、クラシック音楽祭「大阪国際フェスティバル」の一環としてシュトラウスの歌劇「サロメ」も演奏会形式で上演する。

重複なく、幅広い年代のシュトラウス作品を取り上げることができたのは、各楽団の協力の結果だ。シュトラウス企画に限り、各楽団の定期会員が他楽団の公演に足を運ぶ際、入場料を2割引きする制度も導入する。

■4月に合同オケ

楽団の看板事業である定期演奏会で、ライバル同士が手を組み共通テーマを設けることは全国的に見て異例だ。センチュリー響首席指揮者の飯森範親は「楽団も音楽ファンも多い東京ではできないし、必要もない企画だ」と指摘する。日本オーケストラ連盟のまとめによると、17年度の各楽団の会員数は、在阪楽団で最多の大阪響でも2700弱。東京の主要楽団はNHK交響楽団の約9200を筆頭に、3000以上が当たり前だ。

大阪では06年、当時の関西経済連合会の秋山喜久会長が4楽団統合案を提唱。「大阪に4つも楽団が必要なのか」と議論を巻き起こした。11年にはセンチュリー響が大阪府から独立。自治体からオーケストラへの助成も大幅に減った。4楽団の連携を進めるのは危機感からだ。

4楽団の協力が本格化したのは15年、フェスティバルホール(大阪市北区)での「大阪4大オーケストラの響演」から。「単発の企画に終わらず、大阪の音楽界を盛り上げよう」と4楽団の事務局が意気投合し、同年9月に協議会を設置。以降、JR大阪環状線車内でのコンサートや、母の日時期の演奏会に合わせた共同イベントを実施した。

4オケの響演は昨年で演奏順が一巡。今年は4月20日、4楽団が合同オケを組む。シュトラウス企画と連動し「アルプス交響曲」などを演奏する。指揮には兵庫県立芸術文化センター(西宮市)の芸術監督で、大阪ともゆかりが深い佐渡裕を招く。

音楽評論家の中村孝義氏(大阪音楽大理事長)は4楽団の連携について「大阪は各楽団ファンが固定化している感が強い。聴衆層を広げることにつながるのではないか」と評価する。その上で、各楽団が主催する演奏会の日程を離すなど、さらに演奏会へ足を運びやすい環境を整えるべきだと強調する。

(大阪・文化担当 西原幹喜)

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