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人間の五感や創造力を身につける人工知能技術

AIの未来(3)

NIKKEI STYLE

人工知能研究会(AIR)の運営委員の古屋俊和です。第2回では、人工知能が想像力を手に入れたという話をしましたが、第3回では、今後どのような人工知能技術が出てくるかをご紹介させていただければと思います。

直近、5年間ほどで、ディープラーニング(深層学習)技術はすごい速度で研究されてます。しかし、まだディープラーニング技術の伸び代は大きく、次々新しい技術が提案されています。

複数のデータを同時に学習するマルチモーダル学習が主流に

これまで、データの種類ごとに特化して研究がされる傾向にありました。例えば、画像なら画像に特化したアルゴリズムの研究、音声なら音声に特化したアルゴリズムの研究をするというように。しかし、ディープラーニングはモデルを柔軟に定義出来るため、画像とテキスト、さらに画像と音声と数値データなど、複数のデータを同時に学習させることが可能です。このような複数の違う種類のデータを同時に学習させる技術を「マルチモーダル学習」といいます。

この技術により、データの種類に依らない複合的な情報処理が出来るようになりました。人間も画像や音声などの複合的な情報を五感を使い処理しているので、この技術は人間に近い情報処理技術と言えるでしょう。

アルファ碁で使われた深層強化学習は仮想空間の発展と共に進化

これまで、アルファ碁に使われた深層強化学習は何万回も繰り返し学習する必要がありました。現実世界では、何万回も繰り返し実験し、データを取ることが難しいので、深層強化学習はゲームを対象とした研究が主でした。

しかし、現実世界に近い仮想空間を作れたら、その仮想空間上で深層強化学習を使い学習出来るようになります。また、囲碁では、一対一での対戦でしたが、現実世界では、複数の物体が相互的に作用し合います。このような、複数の物体が相互的に作用して、学習していくモデルは「マルチエージェント学習」と呼ばれます。深層強化学習は1対1から複数の相互作用を学習するマルチエージェント深層強化学習に発展していくでしょう。

仮想空間でAIを学習させることがAI研究を加速させる

2つのAIが競い合って能力を高め、リアルな画像などを生成するGAN(敵対的生成ネットワーク)と呼ばれる技術が近年盛んに研究されています。ごの技術を使うと、仮想のベットルームを生成したり、存在しない人の顔を生成したり、あらゆる画像を生成出来ます。また、この技術を応用すれば、現実世界の3次元の物体をそのまま仮想空間上に作ることも可能になります。

すると、これまではゲームの世界(仮想空間)と現実世界は区別可能でしたが、現実世界の物体を仮想空間に作ることにより、仮想空間がより現実世界に近づくかもしれません。

仮想空間がより現実に近づくと、仮想空間でAIの学習が進められるようになります。また、仮想空間で学習させたAIを現実世界で使えるようになります。この作業は人間のイメージトレーニングに近く、人も脳内でいろいろ想像しながら練習し、その結果を現実世界に還元しますが、それに近いことがAIでも可能になります。この動作が出来るようになれば、人間のような認知機能を持ったAIが出来るかもしれません。

マルチモーダル学習、マルチエージェント学習、仮想空間を作る技術など、複数の技術を組み合わせるとAIはもっと発展するのではないかと思います。これからは今まで独立して作られた技術が複合的に組み合わさる研究がされそうです。ただ、計算コストが圧倒的に必要なので、GPU(画像処理半導体)を使う以外でも量子コンピュータなどの次世代計算リソースが重要になるかと思います。

AIはまだ発展の余地が十分にある技術です。今、人や資金がAIに投資されていますが、この流れをブームで終わらせないためにも、私は社会で役立つAIを作りつつ、未来の技術を作っていきたいと思います。

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