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移籍巡る思い複雑 選手もファンも寄り添って
スポーツライター 浜田昭八

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2019/2/10 6:30
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野球協約の第106条に「選手は(中略)他の球団に譲渡されることを、統一契約書において、あらかじめ同意しなければならない」とある。つまり、球団から他球団へのトレードを通告された選手は、拒否することができないのだ。

交換トレードや金銭トレードでユニホームを着替えるのは、選手もやむを得ないと受け入れるだろう。だが、移籍を納得するまでに時間がかかるのは、フリーエージェント(FA)の「人的補償」で移籍する選手ではないか。丸佳浩の巨人へのFA移籍の見返りで広島へ移った長野久義、炭谷銀仁朗の巨人入りの補償で西武へ移った内海哲也らの胸中は複雑だったに違いない。

FA制で戦力が著しく不均衡になるのを避けるために補償制度がある。補償には「金銭」と「人的」があり、ほとんどで両補償が併用される。今オフのFA移籍では西武から楽天へ移った浅村栄斗のケースで、西武が金銭補償を受けただけで済ませた。

広島に移籍した長野(右)は懸命にチームに溶け込もうとしている=共同

広島に移籍した長野(右)は懸命にチームに溶け込もうとしている=共同

問題は「人的」での「人選」である。FA選手を獲得した球団は、相手球団に人的補償が可能な選手のリストを提出する。取られたくない主力28選手と外国人選手を「プロテクト」する。主力選手を守るのだ。巨人が菅野智之や坂本勇人を失いたくない選手として、リストからはずしたのは言うまでもない。相手の広島、西武は主力が充実しているので若手を狙ってくるだろうとみて、まだ戦力になっていない有望な若手を何人か囲い込んだ。

その影響で長野、内海は補償候補のリストに載せられた。といった事情はあるが、当人たちは巨人の編成部門担当者、原辰徳新監督ら首脳陣から欠かせぬ戦力とみられていなかったのかと悩む。長野には巨人入りの前に日本ハム、ロッテからのドラフト指名を断り、巨人一筋の思いを貫いた経歴がある。内海も高卒時にオリックスの指名を断り、ノンプロを経て念願の巨人入りを果たした。それだけに、2人とも全盛時の輝きがやや薄れたとはいえ、28人から外れるとは思いもしなかっただろう。

気遣われるFA移籍組の今後

だが、いつまでもそれにこだわっていては、この世界で生きていけない。新ユニホームをまとい、それぞれのキャンプ地で元気に練習に励んでいる。彼らより気遣われるのはFA移籍組の今後だ。シーズンが始まると、古巣のファンがどう反応するかだ。

オリックスから阪神へFA移籍した西勇輝や、西武から巨人へ移った炭谷のように、リーグをまたいだ移籍組への風当たりはそれほど厳しくはないだろう。セパ交流戦で"里帰り"したとき、「お帰り」と旧ファンと交歓するシーンをよく見かけた。問題は同一リーグのライバル球団へ移った丸、浅村のケースだ。とりわけ、優勝争いをするとみられ、人気も抜群の球団間を移動した丸はシーズンに入ると激しいブーイングの波にさらされるのではないか。

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