2019年6月27日(木)

独仏鉄道統合「承認せず」、過度な巨大化に懸念
独仏は反発、ルール見直し求める声も

2019/2/7 0:16
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会が6日、独シーメンスと仏アルストムの鉄道車両事業の統合計画を却下した背景には、グローバル化に伴い世界的に進む企業の合併や統合による市場寡占化への懸念がある。規模で両社を大きく上回る中国勢に対抗するため、統合の承認を強く求めてきた独仏政府は、欧州企業の国際競争力を損ねる判断だと猛反発している。

シーメンスの高速鉄道「ICE」(右)とアルストムの「TGV」(仏パリ東駅)

「大きいほうがいつでも良いという考え方のワナにはまらないようにすべきだ」。EUで競争政策を担うベステアー欧州委員は6日、統合計画の却下に先立ち、ブリュッセルで講演した。多様な企業による競争こそが経済を成長させるとの姿勢を強調した。

独仏などは、世界的な存在感を高める中国勢に対抗するには、規模拡大による国際競争力の確保が欠かせないと主張。欧州委に両社の統合計画を承認するよう強く迫ってきた。

ルメール仏経済・財務相は6日、欧州委の判断公表に先立ち、仏メディアに対して統合案の却下は「中国の経済と産業の利益にかなう」との懸念を表明。独政府も統合は「国際競争で欧州が勝ち残るために必要だ」(アルトマイヤー独経済相)と訴えていた。

欧州委による統合案の却下を受け、EUの競争政策の見直しを求める声も上がり始めた。ロイター通信によると、仏政府高官は6日、独政府と連携し、ユンケル欧州委員長をトップとする現行の欧州委員会が19年後半に任期を終え、新たな欧州委員会が発足すれば、EU競争ルールの見直しを提案する構えをみせた。アルトマイヤー独経済相も同日、「欧州の競争法を変える提案を仏と準備している」と認めた。

ドイツ出身で欧州議会の最大会派の欧州人民党(EPP)グループ代表のウェーバー議員も「欧州はグローバルなチャンピオン企業を育てなければならない」と訴える。今後、EUレベルの競争法のあり方を見直す議論が本格化する可能性も出てきた。

ベステアー氏は6日、鉄道分野で世界首位の中国中車は「企業活動の90%以上が中国国内だ」と主張した。中国国外での事業は「あまりうまくいっていない」との見方を示し、「近い将来に欧州市場に入ってくる見込みはない」と強調。独仏などの主張に反論した。

EU加盟国の中でも、英国やオランダ、ベルギーなどは欧州市場の競争が損なわれて、自国の鉄道のコスト上昇につながるとして統合案に懸念を示す欧州委を支持していた。

欧州委による却下を受けて、両社は統合計画を「白紙」に戻す方針を示した。シーメンスは6日の声明で「鉄道部門の将来のための全ての選択肢の検討に入る」と述べた。ジョー・ケーザー社長は1月末の決算記者会見で「何が何でも合併しないといけないわけではない。選択肢はある」と話していた。

統合案ではシーメンスが鉄道車両・信号機事業を切り出してアルストムと統合する方針だった。現地メディアは一度切り出すと決めた部門を再び統合するのは難しく、上場を検討する可能性があると報じている。

シーメンスは17年のアルストムとの合意前に、同業大手のボンバルディア(カナダ)とも統合交渉を進めていたとされ、再び他社との事業統合に動く可能性も否定できない。

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