2019年4月23日(火)

次世代車の投資競争激化 トヨタ、10~12月営業増益鈍る

自動車・機械
2019/2/6 23:29
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2018年4~12月期決算で本業の堅調ぶりをみせたトヨタ自動車だが、不安要素もちらつく。18年10~12月期の連結営業利益は前年同期比0.4%増の6761億円。17年7~9月期から5四半期続いた2ケタ増益から減速した。コネクテッドカーや自動運転などの分野で競争が激化し、先行投資がかさんでいるのが一因だ。効率的な研究開発体制をつくり、移動サービス分野で「稼ぐ力」を高められるかが今後の競争力を左右する。

「もう一歩で今期(19年3月期)の業績目標が達成できるところまで来た」。白柳正義執行役員は6日の決算会見で、業績の進捗についてこう語った。堅調な販売を背景に、18年4~12月期の営業利益は9%増えた。

だが直近の10~12月期をみると、増益幅は過去の5四半期に比べて大きく縮小した。トヨタは前年同期は円安が利益を大きく押し上げていた。これが一服し、原材料価格も上がるなか、研究開発など先行投資の拡大が利益を圧迫している。

自動車メーカーの収益環境は、米国と中国の2大市場の減速を受けて悪化している。18年10~12月期はホンダの営業利益が4割減り、米フォード・モーターは最終赤字だった。トヨタの業績は底堅いが、将来の稼ぐ力に対する危機感は強い。

背景にあるのが、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の競争激化だ。自動運転では米グーグル系のウェイモが昨年末に人が運転に介在しない「レベル4」の車両の配車サービスを始めるなど、異業種の存在感が高まる。電気自動車(EV)でも米テスラのほか、中国勢が台頭する。

トヨタも米シリコンバレーや東京に人工知能(AI)や自動運転の研究開発拠点を設けた。電動車は30年に販売を現状の約3倍の550万台に引き上げ、パナソニックとの提携で次世代電池の開発を加速する。

ただ先行投資の拡大は利益面では重荷だ。トヨタの19年3月期の研究開発費は1兆800億円と5年前に比べ約2割増。このうち35%程度が次世代技術への投資だ。技術者も増やし「過去5年で固定費は1兆円以上増えた」(トヨタ幹部)。

研究開発の裾野が広がるなか、リターンも低下傾向にある。18年3月期まで3年間の純利益を、それ以前の3年間の研究開発費で割った「研究開発効率」でみると、トヨタは2.1倍。エンジン車が主役だったリーマン・ショック前の08年3月期を起点とした効率(2.2倍)からじわりと下がった。独フォルクスワーゲンは同期間に1倍から0.4倍に、独BMWも2倍から1.4倍に下がっている。

通信機能を備えたコネクテッドカーの普及が始まり、自動運転の実装も進む中、次世代技術をいかに収益化につなげるかが今後の課題だ。

手は打ちつつある。トヨタは東南アジアのライドシェア大手のグラブと、車両データを活用した効率的な整備、保険で連携を始めた。20年にはグラブのレンタル車両のトヨタ車のシェアを18年12月比で25ポイント増やす。

国内では3月から東京都を皮切りに、コネクテッドカーのトヨタ車の定額利用サービス「キントワン」を始める。「プリウス」「クラウン」など5車種が対象で、1車種を選ぶのは従来のリースと同じ。だが毎月5万~10万円(税込み)を支払い、頭金や税、保険、整備の負担や手間がいらず、インターネットで申し込める。保有より利用を重視する消費者のデータを集め、新たな車両やサービスの開発に生かす。

豊田章男社長は「車を造る会社からモビリティーカンパニーに変わる」との戦略を掲げる。業績面でもその成果を早期に織り込めるかが注目される。

(押切智義、工藤正晃)

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