米朝「非核化・見返り」攻防再び 首脳27・28日再会談
米、終戦宣言検討か/北朝鮮、具体策小出し

2019/2/6 22:46 (2019/2/6 23:05更新)
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【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】トランプ米大統領が5日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との再会談を27、28両日にベトナムで開くと発表した。膠着する非核化の進展を引き出したい米国は、北朝鮮が求める「見返り」提供に慎重な姿勢を軟化させ始めている。朝鮮半島の終戦宣言などが検討対象になるとみられ、非核化措置を小出しにする北朝鮮とのせめぎ合いが熱を帯びそうだ。

首脳会談で合意をめざすポイントなどを話し合うため、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は6日、ソウル近郊の烏山米空軍基地から空路で平壌入りした。タス通信によると、ビーガン氏一行は午前10時ごろ順安空港に到着し、平壌市内に向かった。新たな交渉相手である金革哲(キム・ヒョクチョル)氏と協議に臨んだとみられる。

協議の焦点は北朝鮮の非核化措置をどれだけ具体化できるかだ。昨年6月のシンガポールでの首脳会談で署名した共同声明は「朝鮮半島の完全な非核化」をうたったが、手順や時期には一切触れなかった。トランプ氏は金正恩氏が会談でミサイル関連施設を破壊すると約束したと明かしたが、双方の主張の隔たりを埋めなかったため、その後の交渉は停滞していた。

米国側は非核化の進展がみられるまで、見返りの提供に慎重な姿勢をとってきた。非核化が完了する前の経済制裁の緩和も一貫して否定。6月の初会談前に俎上(そじょう)にのった朝鮮戦争の終戦宣言は、北朝鮮の非核化意思への懐疑論が高まった影響もあって立ち消え状態になっていた。

再会談を控えて、米国はやや違ったシグナルを送り始めている。ビーガン氏は1月31日の講演で相応の措置を実務者協議で話し合うとともに、信頼醸成に向けた「多くの行動について議論する用意がある」と述べた。経済制裁は堅持しながらも、見返りの提供を排除しない柔軟な姿勢を示したともとれる。具体策が動かない非核化の進展への誘い水とする狙いがある。

経済制裁にあえぐ北朝鮮が狙うのは早期の制裁解除だ。まず開城工業団地の再開など南北の経済協力事業を例外として認めさせ、国際社会の制裁圧力を徐々に緩める機運を醸成する戦略とみられる。北朝鮮専門家は「米国が制裁緩和に消極的なら、非核化進展は望みにくい」と指摘する。

ベトナムでの再会談は2日間にわたり、両首脳が直接交渉する時間が多く確保される可能性がある。「多くの仕事が残っているが、私と金正恩氏の関係は良い」。トランプ氏は5日の米議会での演説で、トップ外交を通じて非核化交渉を進展させる自信を示した。思い切った政治決断が望める半面、判断を誤れば北朝鮮ペースにはまるリスクもある。

昨年6月の首脳会談の際、トランプ氏はマティス前国防長官ら政権幹部との調整もなく米韓合同軍事演習の中止を約束した。トランプ氏との直接交渉をめざしてきた金正恩氏は、同じアプローチで再び譲歩を引きだそうとしている。

日本や韓国が懸念するのは在韓米軍の縮小や撤収だ。トランプ氏は「そうした計画はない」と言明しているが、金正恩氏とのトップ会談での取引次第でどう転ぶかわからない危うさをはらむ。

長期戦を見据え、核心を外しながら小刻みにカードを切るのが北朝鮮の常とう手段だ。北朝鮮は非核化措置に関し「段階的かつ同時行動」の原則に固執している。金正恩氏がこれまで言及した寧辺の核施設廃棄や査察受け入れに応じたとしても、北朝鮮が核リストの提示を拒んでいる限り核放棄への道筋は描けない。

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