電子部品大手8社、6社が下方修正 19年3月期
スマホ向け鈍化、中国減速が響く

電子部品大手8社の2018年4~12月期連結決算が6日に出そろった。8社のうち京セラやTDKなど6社が19年3月期の営業利益見通しを下方修正した。期初予想からの修正額は合計で1000億円超と、米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone5」の販売失速があった13年3月期以来の規模になった。各社は自動車や産業機械向けなどで収益源を多角化しているが、スマホ依存の高さが改めて浮き彫りになった。
村田製作所、京セラ、日本電産、TDK、ミネベアミツミ、アルプスアルパイン、日東電工、ロームの8社の決算をまとめた。そのうち、村田製とロームを除く6社が通期の営業利益見通しを引き下げた。
ミネベアミツミは6日、19年3月期の連結営業利益が前期比9%増の750億円になると発表した。従来予想を100億円下回る。同社は連結売上高に占める電子部品関連の比率が8割を占めており、米田聡執行役員は「19年1~3月期にかけてスマホの減速とゲーム向けの在庫調整が予想される」と述べた。
8社合計の18年4~12月期の営業利益は前年同期比4%増だった。ただ、需要が急減速した10~12月期に限れば15%減だ。米中貿易摩擦や中国景気の減速を背景にスマホ販売が落ち込んだほか、自動車や産機などにも需要減が波及した。「12月の受注は7~9月期の平均に比べて3割減った」(TDKの山西哲司常務執行役員)。
先行きの需要がさらに落ち込むとの見方は少ない。19年1~3月期の営業利益は合計で前年同期から20%増える見通し。アルプスアルパインの幹部は「1~3月期に大きく回復することはないが、底割れもない」と話す。ミネベアミツミの米田氏は「4月以降は需要が回復する」とみる。
ただ、電子部品各社の業績はここ数年、スマホの売れ行きなどに左右され、短期間に大きく振れてきた。中国景気の減速懸念もくすぶり、「各社の見通しは楽観的な印象」(国内証券)との声もある。
今後は脱・スマホ依存の進み具合で明暗がさらに明確になる可能性もある。
最大手の村田製は中国でスマホ向け電子部品の需要が減速する一方、自動車の電装化で車載部品が伸びる。19年3月期の営業利益(米国会計基準)で68%増の2750億円を見込み、従来予想を据え置いた。竹村善人取締役は「受注残が積み重なっている」と話す。
TDKは通期予想を下方修正したが、車載のコンデンサーの需要は伸びており23%の営業増益を見込む。