東京ムーブメント

フォローする

灰皿撤去、セブン店舗が板挟みに 頼みは公衆喫煙所?

(2/2ページ)
2019/2/12 5:40
保存
共有
印刷
その他

冒頭のセブンオーナーによれば、約20年前の開業から店頭に灰皿を置いているが、当初は歩きたばこの吸い殻を捨てる程度だった。立ち止まって吸う人が目に付くようになったのは路上喫煙が規制されてから。「公衆喫煙所がなくなった3年前から、特に増えた気がする」と振り返る。

立川市は立川駅周辺に4カ所あった公衆喫煙所をすべて撤去した(立川駅前)

立川市は立川駅周辺に4カ所あった公衆喫煙所をすべて撤去した(立川駅前)

コンビニの店頭には灰皿はあっても、煙が広がらないようにするための壁や天井はない。たばこを吸う人が集まるようになれば、住民から苦情が出るのは避けられない。

セブンイレブンの本部には以前から苦情が届いていたが、18年春を境に一気に4倍に増えた。ちょうど政府が屋内の原則禁煙を閣議決定し、東京都がより厳しい条例を発表したころに当たる。「店には直接言いにくいのではないか。世の中の目が変わってきていることを実感した」とセブン―イレブン・ジャパンの村佐宣明・お客様相談室長は話す。

同社は単に苦情を記録するだけでなく、直接やり取りして詳細な背景を聞き出している。そこからは、コンビニ店頭での喫煙がどれだけ人々の日常生活に影響を与えているかが伝わってくる。

「交差点のセブンイレブンに灰皿が置いてあります。店の前に十分なスペースがないので、みな周辺の歩道にまではみ出て、たばこを吸っています。気管支が弱い私は、毎日信号を待っている間に煙で呼吸困難になります」(大阪府)

「マンションの1階にセブンイレブンが入っていて、私の住んでいる4階にまで煙が上がってきます。毎日玄関を開けると、たばこの臭いがします。灰皿を置くのであれば、煙がどこへ向かうかを考えてほしいです」(東京都)

このまま灰皿を容認し続ければ、企業として喫煙を奨励していると受け取られかねない。「もう放っておけない」。そんな危機感がセブン本部を動かした。まず東京都から撤去することにしたのは、20年の五輪に向けて禁煙の意識が高まることが予想されるため。態度を決めかねているオーナーに対しても、粘り強く説得する考えだ。

■簡易な喫煙所、撤去相次ぐ

もっともセブンイレブンの店頭から灰皿がなくなったとしても、根本的な解決にはならない。喫煙者は吸える場所をほかに求める可能性が高いためだ。そこで苦情が出れば、また別の場所に移る。灰皿のないところでは、ポイ捨てでゴミが増えるどころか、火事になることだってあり得る。

日本の喫煙規制は世界でも特異だ。子供のやけどやポイ捨てを防止するため、屋外での規制が先行した。いまや東京都内のほどんどの自治体が路上喫煙を制限しているが、海外ではそうした規制は少ない。一方、遅れていた屋内については20年の東京五輪をきっかけにようやく原則禁煙となる。東京都の場合、飲食店の8割以上が対象だ。吸えるところはほとんどなくなる。

住民の反発もあり、公衆喫煙所の整備は難しい(東京都新宿区の高田馬場駅前)

住民の反発もあり、公衆喫煙所の整備は難しい(東京都新宿区の高田馬場駅前)

そこでクローズアップされるのが、煙が外に漏れ出さないようにした公衆喫煙所だ。東京都は屋内を原則禁煙にするのに合わせて、市区町村が喫煙所を設置する際には全額を補助金で支援することにしている。箱状の密閉タイプなら最大1000万円、周囲を壁で囲むタイプは同600万円だ。

これまで都内の自治体の多くは、路上喫煙の禁止に合わせて囲いのない開放タイプの喫煙所を設けてきた。だが住民の苦情を受けて、撤去に追い込まれるケースが相次いでいる。調布市は調布駅前にあった市内唯一の喫煙所を18年10月に廃止。武蔵野市は14年までに吉祥寺駅、三鷹駅などに5カ所あった喫煙所をすべてなくした。立川市もその一つだ。

今後は、自治体がそうした簡易な喫煙所を重装備に切り替えられるかが焦点となる。都の支援があるとはいえ、喫煙者のためだけに多額の税金を投じることには異論が多い。開放タイプなら高架下の歩道でもよかったが、密閉タイプは専用の場所を確保しなければならない。

ある自治体の担当者は「駅周辺には十分なスペースがないし、密閉したからといってわずかでも煙が漏れれば苦情が出る。設置は現実的に難しい」と明かす。迷走する日本の喫煙規制。セブンイレブンの灰皿は、そのひずみが覆い隠せなくなってきていることを示している。

(オリパラ編集長 高橋圭介)

東京ムーブメントをMyニュースでまとめ読み
フォローする

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

東京ムーブメント 一覧

フォローする
まもなく完成するオリンピックスタジアム(新国立競技場)の予想図。大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV作成/JSC提供

 五輪・パラリンピックはスポーツの祭典ではあるものの、セレモニーの中で披露される新技術に心を奪われた人も多いはず。例えば、1984年のロサンゼルス五輪で登場した空を飛ぶロケットマン。最近では、2016 …続き (12/13)

音楽に合わせて光るバルーンを手に光のアートを楽しむ(11月16日、東京都港区の増上寺)


 五輪・パラリンピックは文化の祭典でもある。開幕まで4年間続く文化プログラムはいよいよ佳境に入る。「文化で成功した」といわれる2012年のロンドン大会のように東京が高評価を得るには何が必要か。アートや …続き (12/11)

2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場

 2020年東京五輪・パラリンピックの公式サイトや大手銀行のウェブサイトなど、本物を装った偽サイトを巡る被害が広がっている。海外では不正なサイトを強制的に閉鎖する仲裁の活用が増えているが、日本ではまだ …続き (12/10)

ハイライト・スポーツ

[PR]