2019年8月25日(日)

トランプ氏、政策綱渡り ねじれ議会と財政の壁

2019/2/6 11:47
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は5日の一般教書演説で、インフラ投資や薬価引き下げなど「超党派での経済対策」を呼び掛けた。就任3年目は2020年の大統領選に向けた試金石となるだけに、景気重視の路線を改めて鮮明にした。ただ、野党・民主党は対決姿勢を強め、政策を動かす財源も残されていない。トランプ氏の政策運営は綱渡りが続く。

トランプ氏は就任1年目の17年末に10年間で1.5兆ドルという30年ぶりの大型減税を実現した。18年は3%前後の高い経済成長率になったとみられ、トランプ氏も5日の一般教書演説で「米経済は世界の羨望の的となった」と自賛した。

ただ、就任3年目となる19年は事情が異なる。年後半には減税効果などが薄れて「財政の崖」が発生。大統領選がある20年には成長率が1%台にまで減速するとの予測が出てきた。再選が最重要課題であるトランプ氏にとって、景気失速は是が非でも避けたい事態だ。

そのため一般教書演説では、雇用効果の大きいインフラ投資法案の審議を議会に呼び掛けた。広大な国土を持つ米国はインフラの補修や拡張が追いつかず、老朽化で危険なダムが1万5千カ所もあるとされる。次世代通信「5G」の普及でも中国などに出遅れており、トランプ氏は「最先端分野を含む投資が必要だ」と高速通信網の再整備も政策課題に挙げた。

トランプ氏は薬価引き下げなど、医療保険制度改革にも取り組むと表明した。米国は1人あたり医療費が年9千ドルを超えて日本の2.5倍に膨張するなど、薬価や診療費が低中所得層を強く圧迫している。17年の大型減税は「富裕層優遇」との指摘も根強くあり、医療改革で中間層の支持を取り付けたい考えだ。

インフラ対策も薬価引き下げも、もともとは民主党の政策だ。トランプ氏が演説で両案を取り上げたのは「ねじれ議会」で民主党に歩み寄る姿勢を示すためだ。米国では予算関連法の立案・決定は議会の専権事項。公約だった北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉も、民主党の賛成がなければ批准できない。トランプ政権の浮沈を握るのは野党との協調だ。

ただ、トランプ氏は自らの支持基盤である保守層が強く求める「メキシコ国境の壁」の建設にも強くこだわった。同構想はペロシ下院議長ら民主党幹部が毛嫌いしており、予算を巡る対立は過去最長の政府機関閉鎖という事態に発展した。民主党はロシア疑惑などを巡ってトランプ氏を弾劾する機会を探っており、両者の和解は見込めない。

経済政策の財源も、もはや見当たらない。大型減税による歳入不足で、19会計年度(18年10月~19年9月)の財政赤字は前年度比15%増の8970億ドルに膨らみそうだ。支払利子も年4000億ドル弱と主要国で突出しており「財政は持続不可能だ」(米連邦準備理事会のパウエル議長)。

トランプ氏も共和党も民主党も、目線は既に20年の選挙に向かっている。一般教書演説は米国民に政策課題を訴えかける数少ない機会だが、痛みを伴う長期的な課題は素通りされたままだ。

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