西武・内海、準備怠らず 早くもムードメーカーに
生き生きとした表情で、グラウンドをきびきびと動き回る。内野手との連係プレーでミスをすると「はい、内海さーん」と若手から容赦なくヤジが飛ぶ。

新天地でチーム最年長となった36歳は「とっつきにくい存在にはなりたくない。むしろ、いじってもらってありがたい」。通算133勝の左腕は飾らないムードメーカーぶりを早くも発揮し、チームの輪の中心にいるように映る。
宮崎・南郷キャンプの第1クールではブルペンで元気な姿を見せた。3日は直球主体に63球を投げ、変化球はカーブのみ。「序盤からいろんな球種を投げると体のバランスが崩れる。大きな変化のカーブを時折交えながらバランスを整え、まずフォームを固めたい」
はやる気持ちを抑え、ベテランらしく巨人時代から取り組んできた調整法を貫く。体が前方に突っ込む悪癖が出ないよう、イメージするのは回転の良い直球を高めに浮き上がるように投じることだ。「次のステップにいける状態になってきた」。笑顔に充実感が漂う。
セ・リーグで2度の最多勝に輝いた実力者も、2013年を最後に2桁勝利から遠ざかっている。「もう何年も1年を通じて活躍できていない。ライオンズに期待されている今年は本当のチャンス」。巨人入りした炭谷銀仁朗に代わる人的補償という思わぬ形での入団を前向きに捉え、例年以上に自主トレに力を入れてきた。勝負の16年目に「サバイバル競争を勝ち抜かないといけない」と目の色を変えている。
球場入りに使うのは、炭谷が昨年まで乗っていた自転車。チームバスの出発より前に宿舎を出る。全体練習の開始前にストレッチや肩周りのトレーニングに十分な時間を割くのは、古巣時代から変わらないルーティンだ。
「入念な体のチェックを怠らない。野球を始める前の準備がすごい」。30歳の救援右腕、増田達至が感嘆する。「あれだけの実績があるのに周りにも気を配ってくれて接しやすい。どんどん質問して少しでも吸収したい」。投手陣の手本としても期待されるベテラン。復活をかけ、明るく真摯に野球に取り組む態度がチームに好影響を与えている。
(常広文太)