2019年4月24日(水)

米中摩擦余波、欧州が大幅輸出増 国連機関報告

貿易摩擦
2019/2/5 18:35
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米中貿易戦争の勝者は欧州――。国連貿易開発会議(UNCTAD)は4日、米中が互いに相手国の製品への関税を引き上げた結果、欧州連合(EU)が最も大きな輸出増の恩恵を受けるという調査報告をまとめた。コスト高となった対象製品の多くの調達先が第三国に振り向けられるためで、米中両国の「国内産業の保護にはあまり効果的ではない」と指摘した。

2018年12月1日、ブエノスアイレスでの首脳会談で対峙したトランプ米大統領(右端)と習近平・中国国家主席(左端)=ロイター

報告によると、米中の関税引き上げ合戦でEUの域外輸出は年間で計約705億ドル(約7兆8千億円)増えると推測できる。このうち中国の対米輸出の代替が約508億ドル、米国の対中輸出の代替は約197億ドルだ。

輸出増額の2位は米国の隣国メキシコ(約279億ドル)、3位は日本(約244億ドル)となる。

関税引き上げの米中貿易への影響をみると、追加関税の対象である中国から米国への2500億ドル相当の輸出品は、82%が第三国に調達先が変更される。12%は中国からの輸出が続き、米企業が代替できるのは6%にすぎない。

同様に米国から中国への追加関税対象の850億ドル相当の輸出品は85%が第三国に輸出を代替される。米国が輸出を続けるのは10%弱で、中国企業の代替は5%程度にとどまる。

調達の代替で輸出増の恩恵を享受する国や地域も、同時に打撃を被る可能性がある。調査は「北米と東アジアのバリューチェーン(価値の連鎖)が悪影響を受ける」と指摘した。関税引き上げ合戦による製造業の部品調達網のゆがみなどマイナスの影響が地域をまたいで広く及ぶという説明で、その額は東アジアだけで計1600億ドルに達すると試算した。

リスクはほかにもある。例えば、中国は米国産大豆に追加関税を課し、輸入を事実上、制限した。代わりに主要な生産国の一つである南米のブラジルからの大豆輸入を増やした。だが、米中が和解すれば中国はブラジル産大豆の輸入を減らすと予測できる。米中対立が今後どのくらい続くか不透明なため、報告は「ブラジルの大豆農家は(増産のための)投資決断に及び腰だ」と記す。

米国は2018年、中国の知的財産侵害を理由に3回、制裁として様々な中国製品への関税を上乗せした。中国もこれに対抗して関税を引き上げた。米中は同年12月にブエノスアイレスで開いた首脳会談での合意に基づき、是正策を協議している。だが、期限の3月1日までに合意に達しなければ、米国は対中関税を一段と引き上げる計画だ。

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