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曖昧な大前提で迷走 大学スポーツ改革はやピンチ
編集委員 北川和徳

2019/2/6 2:00
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スポーツ庁が主導して今春発足する大学スポーツ協会(UNIVAS)が誕生前からピンチを迎えている。大学スポーツ改革に最も熱心で、組織の中核になると期待された筑波大学が参加を迷っているという。

UNIVASは米国の全米大学体育協会(NCAA)をモデルにした大学スポーツの学校・競技横断的な統括組織。運動部を持つ大学に参加を募り、スポーツの産業化を進めて「学業充実」「安心安全」の環境を整えることを掲げている。

日本の大学の運動部は通常は学生たちによる任意団体にすぎない。大学が運営に責任を持って関与しないため、ガバナンス(統治)やリスク管理で問題が起きやすい。UNIVAS設立の最大の目的も、その状況の改善にある。

練習試合を終え、整列する日大アメフト部の選手たち。昨年の悪質タックル問題以降、大学スポーツのガバナンス問題がクローズアップされている=共同

練習試合を終え、整列する日大アメフト部の選手たち。昨年の悪質タックル問題以降、大学スポーツのガバナンス問題がクローズアップされている=共同

筑波大は2018年春に学内の運動部をマネジメントする「アスレチックデパートメント」を設置。いち早く改革に取り組んできた。ここに来て参加を疑問視している理由は、運動部の運営に大学が責任を持つという大前提が明確でないまま参加が募られていることのようだ。大学によるメンバーシップではなく、競技の普及が目的である競技連盟などが同列に加わった組織になることも問題があるという。

UNIVASに関しては、本家NCAAの組織や運営に詳しく、準備段階からスポーツ庁の検討会に加わって支援してきたドームの安田秀一社長も、「目指すべき姿とまったく違う組織になった」と、日経電子版に自身が持つコラムで痛烈に批判している。

実際に運動部を大学の管理下に置くかどうかを曖昧にしたままUNIVASが事業を展開するのには根本的な問題があると思う。19年度の収入の目標として20億円を掲げるが、その柱に期待するのは新たな大学対抗戦の開催や競技映像のネット配信などによるスポンサー料だ。

安田氏も指摘しているが、任意団体である運動部(チーム)や学生自身が持つそうした権利を、UNIVASが勝手に商業利用することが許されるのだろうか。

筑波大が不参加となれば、大学スポーツ改革はスタートからつまずくことになる。

(20年東京五輪まであと534日)

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