賃金上昇、議論かみ合わず 首相「所得合計は増加」長妻氏「18年実質は大半マイナス」

2019/2/4 20:34
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毎月勤労統計の不適切調査問題で、4日の衆院予算委員会では賃金の伸び率を巡り安倍晋三首相と野党が応酬した。野党は物価上昇を加味した実質賃金の伸び率は2018年の大半の月でマイナスになると指摘。アベノミクスの正当性に疑問を呈した。首相は「総雇用者所得は名目も実質もプラスだ」と説明し、議論はかみ合わなかった。

毎勤統計では賃金の伸びに物価変動を反映した実質賃金の増減を前年同月比で調査している。厚生労働省が実質賃金を再集計したところ、18年1~11月の伸び率は全体的に下方修正されたが5カ月分はプラスだった。

野党が実質賃金の増減率を実態に近い調査手法で計算し直すと、18年は6月と11月以外の月はマイナスとなることが判明した。厚労省側も同省が試算しても「同じような数字が出ると予想される」と認めている。

試算は全数調査の対象にならない従業員30~499人の事業所に限り、1年前も調査対象となった「共通事業所」の賃金上昇率を比べた「参考値」だ。総務省の統計委員会は景気指標として見る場合、共通事業所の数値比較を重視すべきだとの見解を示している。

ただ、首相は賃金の伸びを表す指標として総雇用者所得を引用する。厚労省が再集計した毎勤統計の1人当たり賃金に雇用者数を掛けた所得で、内閣府が月例経済報告の中で使用している統計数値の1つだ。名目と物価変動の影響を除いた実質がともにプラスのため、首相は実態の賃金が上がっていると主張する。しかし1人当たりの実質賃金は伸びていない。

この点に関し衆院予算委では立憲民主党の長妻昭代表代行が実質賃金は18年は大半がマイナスとなる点を踏まえ「参考値を公表すべきだ」と迫った。首相は「18年の参考値は今回の集計でそれほど大きな影響を受けていない」と説明した。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「雇用が増えれば1世帯でもらえるお金は増える。消費は実質賃金よりも実質総雇用者所得に連動する」と語る。

立民会派の小川淳也氏も実質賃金の伸び率は高すぎると指摘した。首相は「毎勤統計が経済の実態を直接、示しているかどうかだ」と述べ、他の指標も含め総合的に賃金増を判断すべきだとの考えを示した。雇用が増えている点を踏まえ「私はむしろ総雇用者所得でみるべきだとの議論をいつもしてきた」とも強調した。

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは統計問題の発覚前から賃金の伸びは鈍いとの見方を表明。「野党が追及すべきはいかにミスをなくすかだ。経済統計の重要性を再認識し、専門家の育成や予算を通じてよりよい統計にすべきだ」と指摘する。

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