花王、中国事業の変調で利益拡大が減速

2019/2/4 17:24
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花王が4日発表した2018年12月期の連結営業利益は前の期比1.4%増の2077億円だった。6期連続で過去最高を更新したが、会社計画は下回った。業績をけん引してきたアジア事業の減速が背景にある。中期経営計画「K20」で掲げる20年12月期の営業利益率15%に向け、化粧品や紙おむつなど主力事業の付加価値化路線を一段と進めることが必要だ。

決算発表する花王の沢田社長(中)(4日、東京・中央)

「(業績が)『K20』から乖離(かいり)し始めた。ある意味、厳しい1年だった」。都内で記者会見した沢田道隆社長は、こう述べた。9期連続の営業増益は維持したが、前の期比10.4%のプラスとなった17年12月期に比べ伸び率は大幅に縮小し、計画(2150億円)に届かなかった。

これまでは中国事業が全社の業績をけん引してきたが、変調しつつある。訪日中国人による「爆買い」の対象となり、中国でプレミアムブランドとして強い地位を築いた紙おむつ「メリーズ」がユニ・チャームや現地ブランドと競合し、収益力が低下した。これらの影響で紙おむつが中心のヒューマンヘルスケア事業は減益となった。

19年12月期の営業利益は前期比8.3%増の2250億円を見込むが、達成に向けたハードルは高い。米中貿易戦争の影響などを受けて中国国内の消費が減速しつつあるからだ。さらに1月には中国で通販事業者の規制を強化する電子商取引(EC)法が施行された。これまで日本国内で花王製品を調達してきた輸入業者による購入が落ち込む可能性が出ている。

利益目標を達成するためのカギを握るのは付加価値品の拡販だ。沢田社長は「メリーズでプレミアムブランドとしての地位を維持するため、日本で先行投入してきた最先端の技術を中国発で出していく」と明らかにした。現在は「フリープラス」など中価格帯が好調な化粧品事業でも「ソフィーナ iP」など、高級化粧品の販売にも力を入れていく方針だ。

消費増税が予定されている日本国内では、新製品が生命線となる。昨年11月に新しい界面活性剤「バイオIOS」など5つの要素技術を発表し、19年中に全て事業化する方針を示した。4月に第1弾としてバイオIOSを使った洗剤「アタック ZERO」を発売する予定。「通常25%程度の新製品・改良品の比率を30%以上に引き上げる」(沢田社長)という。

花王は16年12月に中期経営計画「K20」を公表し、20年12月期に営業利益率15%を目標に掲げた。公表直前の15年12月期と比べて4ポイントの引き上げにあたる。

今年で就任8年目を迎える沢田社長にとって「K20」の目標達成は、経営者としての総仕上げともいえる。自身が「これまでになく積極果敢な取り組みを進める勝負の年」と位置づける19年に、どこまで目標に迫れるか。大きな意味を持つ1年となる。

(松井基一)

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