2019年3月26日(火)

プリファード・ネットワークス 深層学習の応用容易に
日経優秀製品・サービス賞

日経産業新聞
スタートアップ
エレクトロニクス
2019/2/4 13:30
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「なんか使いにくいよね」。深層学習のフレームワーク「Chainer(チェイナー)」を開発したきっかけは、会社で同僚と交わした何気ない雑談だった。2015年、当時27歳だった。

深層学習は人工知能(AI)の1つの手法で、人の脳の構造にヒントを得て開発され、膨大なデータの中からコンピューターが特徴を洗い出す。12年にカナダのトロント大学のチームなどが深層学習を使って高精度な画像認識技術を披露し、今の第3次AIブームのきっかけとなった。

Chainer(プリファードネットワークス)

Chainer(プリファードネットワークス)

プリファード・ネットワークス(PFN、東京・千代田)も、深層学習とあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及をにらんで設立したスタートアップ企業だ。

フレームワークは、深層学習のプログラムを書くのに利用する。チェイナーを開発するまで一般的だったものは、自然言語処理では使いにくかった。同僚との雑談で浮かんだヒントを基に、休みを活用して開発に着手。幸いにもバグなど落とし穴がなく、基礎となる部分のコードを書き上げるまでは10日ほど。

チェイナーの名前は、プログラムを書くとデータが鎖状につながるため、岡野原大輔副社長のアイデアでつけられた。

1カ月後の15年6月に「チェイナー」として発表し、誰でも使えるソフトウエアとして公開した。チェイナーの利用者が増えるとともに、利用者がよりよく改良してくれる流れができればと考えた。グーグルやフェイスブックなど、米国のネット大手より先んじたことで、PFNが持つ技術力などを認知してもらえるきっかけにもなった。

チェイナーはAIのシステム開発でよく使われている「パイソン」というプログラミング言語の力を最大限に活用した。プログラミングが得意な人ばかりではなく、数学や統計学を学んできた人もいる。プログラミングに不慣れでもパイソンさえ理解していれば、深層学習のプログラムを書けるようにすることで、アイデアを落とし込みやすく、研究を早く進められるようにした。

自動運転や工場の自動化など、深層学習を使って開発されたシステムの基盤となっている。どれも既存の産業構造を変えるような技術だが、大それたものを作ったという感覚はない。チェイナーというよりも、深層学習そのものが持つ力が大きい。

リサーチャー 得居誠也氏

リサーチャー 得居誠也氏

15年の公開以降、日本だけでなく海外も含めて、多くのエンジニアがチェイナーを使ってくれていることに感謝している。先日、インドにいる大学生から質問のメールが送られてきて、遠く離れた国の人も愛用してくれているのが、うれしかった。

今、取り組んでいるのは高速化だ。深層学習の研究で扱うデータの規模が大きくなっているほか、画像処理半導体(GPU)などハードウエアの性能の進化も著しい。どれだけ大規模で高速に学習できるかが問われるようになっている。他のフレームワークの先を行くよう改良に全力をそそいでいる。

■Chainer(チェイナー) 人工知能(AI)の深層学習技術の開発に使う数式やコンピューターへの指令(コマンド)を体系化した基盤ソフトウエア。自動運転技術や工場のスマート化の実現を支えており、AIの産業応用に大きく貢献している。

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