2019年5月21日(火)

辺野古の軟弱地盤、新たな火種に
首相も改良の必要性認める 県「費用が10倍に」

2019/2/2 23:00
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米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事は軟弱地盤の存在が政府と県の新たな火だねとして浮上してきた。県がかねて指摘してきた問題で、安倍晋三首相も1月31日、改良工事と設計変更が必要だと認めた。設計を変えるには県の許可がいる。玉城デニー知事は申請があっても認めない構えだ。

「(埋め立て予定地の)北側海域は地盤改良が必要だ。改良工事に伴い県に変更承認申請を行う必要がある。まずは沖縄防衛局で検討する」。首相は31日の衆院本会議で、軟弱地盤に対応した設計変更を県に申請する考えを表明した。

新たな護岸の造成が始まった名護市辺野古沿岸部(1月)=共同

新たな護岸の造成が始まった名護市辺野古沿岸部(1月)=共同

軟弱地盤は埋め立て予定地の北東側に存在する。沖縄防衛局による2014~16年の調査で地盤の強度が「非常に軟らかい」とされる地点が複数見つかった。

追加調査でも改良工事が避けられないと判明し、18年度中にまとまる調査結果をまち設計を見直す作業に入る。防衛省は数万本のくいを海中に打ち込む工事を検討する。年内に県に設計変更を申し出る見通しだ。

政府が改良工事の必要性を認めたことに玉城氏は「即刻工事を中止して県と話し合うべきだ」と反発する。県が設計変更を認めなければ軟弱地盤の改良工事はできない。政府は県が認めない場合、県の対応の違法性を確認する訴訟を検討する。

沖縄では辺野古移設を巡る県民投票(2月14日告示、同24日投開票)が予定される。1日には全41市町村の参加が決まった。

政府にとって北東部の工事は大きなヤマ場だ。もともと北東部から工事を始める計画だった。軟弱地盤の存在などから順序を南西側からに変えた経緯がある。南西側は土砂投入にまで進み、メドがつきつつある。

県は軟弱地盤の問題がいずれ主戦場になると予測してきた。対策の一つが辺野古工事の膨らむ事業費と工期の計算だ。

政府は埋め立て工事で工期5年、事業費2405億円を計画する。現在は全22カ所の護岸のうち、6カ所が完成し2カ所が建設中だ。政府が18年10月に示した資料では3月末までに920億円を業者に支払っている。

県は政府から提出を受けた資料などから積算し、ここまでで政府は91億円かかる計画をたてていたとみる。工事の遅れですでに10倍以上に膨らんだとの見立てだ。埋め立て費用も単純に10倍し、2兆4000億円かかると見積もる。

軟弱地盤の対応も試算した。山口県の岩国基地の沖合移設事業を参考に5年の追加工期が必要だと指摘した。地盤改良と土砂調達で1500億円をさらに工面しなければならず、埋め立て費用合計は2兆5500億円にのぼると結論づけた。

玉城氏は18年11月に首相と会った際に試算結果を伝えた。防衛省幹部は「単純にかけ算しただけで根拠がない」と反論する。

首相も31日の衆院本会議で地盤改良工事に関し「一般的で施工実績が豊富な工法により安定性を確保して行える」と述べた。

政府は15年10月に辺野古の本体工事に着手し、22年度以降の辺野古移設を目指してきたが「目標達成はなかなか難しいところにきている」(岩屋毅防衛相)。軟弱地盤をめぐり政府と県の対立が深まればさらに移設目標の実現は遠のく。(酒井恒平)

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