2019年8月26日(月)

認知症、同乗3割「危険な目」 代替移動の確保カギ

2019/2/2 12:04
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認知症の高齢者による交通事故の危険性が増している。患者家族らでつくる団体の調査では、認知症の人が運転する自動車に乗った家族らの3割が、事故などの危険な目に遭っていることが分かった。認知症でも運転免許を持ち続ける人は全体の2割。車に代わる移動手段の確保など、自主返納を促す一層の環境づくりが求められている。

調査をしたのは公益社団法人「認知症の人と家族の会」(京都市)。2018年1~2月、認知症の人の配偶者、子供や介護職員など全国の会員ら940人に自動車事故の経験などを聞いた。

回答した549人のうち15%が「事故を経験したことがある」。「危うかったことがある」の12%と合わせて27%が認知症の人の運転する車で危険な目に遭っていた。

事故経験の内訳で多いのは物損事故(34人)や追突事故(29人)。「危うかったこと」では「信号・踏切無視」(11人)、「道に迷う」(10人)などが目立った。

認知症の運転者による重大事故は各地で起きている。18年11月5日には高知県四万十市の県道で、軽乗用車を運転していた男性(75)が70代の男性歩行者をはねて死亡させ、そのまま逃走した。男性は認知症の疑いがあったとみられる。

70歳以上の人は免許更新時に、認知機能を測る講習が義務付けられている(昨年7月、東京都品川区の鮫洲運転試験場)

70歳以上の人は免許更新時に、認知機能を測る講習が義務付けられている(昨年7月、東京都品川区の鮫洲運転試験場)

警察官が約1時間後に付近で発見し、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで逮捕した。男性は県警の調べに容疑を認めたが、高知地検は不起訴処分とした。

16年10月には当時88歳の男性が横浜市内で集団登校の列に軽トラックで突っ込み、小学生らを死傷させる事故が発生。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で逮捕された男性は認知症と診断され、17年に不起訴処分に。横浜地検は「過失責任が問えない」と判断した。

同会の調査結果では、運転免許は「(認知症の)診断時は持っていたが今は持っていない」が41%で最も多く、「もともと持っていない」も32%。だが20%は「現在も持っている」と答えた。

家族や医師の説得で免許を返納した人の3割が当初は納得せず拒んでいる。家族が免許証や鍵を隠したり、運転できないよう車を処分したりしたケースもあり、返納が必ずしも容易でないことがうかがえる。

返納後に新たな問題が生じることもある。返納後の困りごと(複数回答)で最多は「運転させないことで怒りだしたり落ち着きがなくなった」(42人)。「運転できないことにショックを受けて家に閉じこもりがちになった」(41人)、「返納したことを忘れ運転しようとしてしまう」(40人)などが続く。

17年の道路交通法改正で、75歳以上の運転者は免許更新時などに受ける検査で認知症の恐れがあると判定された場合、医療機関の受診が義務付けられた。認知症と診断されると免許は取り消しか停止となるため、自主返納する人が増えるきっかけにもなっている。

一方、公共交通機関などが少ない地域では車が生活に欠かせず、返納に踏み切れない事情もある。同会の鈴木森夫代表理事は「返納後は自宅から出なくなる人が多い。地域の移動手段と併せ、認知症の人の居場所の確保といったまちづくりを国や自治体に求めていきたい」と話している。

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