ロシア疑惑、捜査大詰め トランプ政権の命運左右

2019/2/7 2:00
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トランプ米大統領周辺とロシアの不透明な関係をめぐる疑惑「ロシアゲート」の捜査が大詰めを迎えている。捜査を仕切るモラー特別検察官は1月末までに37個人・団体を起訴して疑惑の真相に迫ってきた。捜査結果は議会による大統領弾劾の発議の判断材料となり、トランプ政権の命運を左右する可能性もある。

米司法省は2017年5月、元米連邦捜査局(FBI)長官のモラー氏を特別検察官に任命した。モラー氏は16年の米大統領選で、トランプ陣営がロシアの支援を受けて選挙戦を有利に進めた疑いを捜査している。米メディアではトランプ陣営とロシアの「共謀疑惑」と呼ばれている。また、トランプ氏が共謀疑惑の捜査を妨害したという疑いも捜査の焦点の一つになっている。

捜査結果次第ではトランプ氏の罷免につながる可能性があり、米国で大きな関心を集めている。合衆国憲法は「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」を犯した場合に議会下院で大統領の弾劾が発議され、上院で有罪判決を受ければ罷免されると定める。これに該当するような具体的な行為が明らかになるかが焦点だ。

共謀疑惑の捜査は着々と進んできた。今年1月下旬にはトランプ陣営の元幹部ロジャー・ストーン被告を起訴した。同被告は大統領選で対決したヒラリー・クリントン元国務長官の陣営のメールを流出させた内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏に接近。流出のタイミングを事前に把握し、トランプ陣営幹部に伝えていた。

ストーン被告の捜査は、モラー氏が共謀疑惑に最も踏み込んだケースといえる。アサンジ氏はロシア政府に近いとされるからだ。米情報機関は17年1月、ウィキリークスが暴露したメールを提供したのはロシア軍参謀本部情報総局(GRU)と断定している。モラー氏は18年7月に大統領選干渉の罪でGRUのメンバー12人を起訴している。

米メディアによると、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏もウィキリークス関係者とやり取りしていたと判明している。メール流出直前に「クリントン氏に打撃となるだろう」とのメッセージを送信。流出を把握していた可能性を示唆した。モラー氏は流出に関連し、トランプ陣営とロシア政府の接触・連携の痕跡をさらに捜査しているとみられる。

共謀疑惑の事例は他にもある。

ジュニア氏やトランプ氏の娘婿であるクシュナー上級顧問は16年6月、クリントン氏に不利な情報の提供を持ちかけたロシア人弁護士と面会した。弁護士は米国での裁判に関連して、ロシア検察に虚偽文書の作成を依頼できるほどロシア政府に近い人物だ。

トランプ陣営の選対委員長を務めたポール・マナフォート被告はGRUに近いロシア人政治コンサルタントに選挙データを提供した。米メディアによると、ロシアのプーチン大統領に近いロシア人富豪オレグ・デリパスカ氏に選挙情勢の説明をするために接触を試みていた。

もう一つ焦点である捜査妨害の疑いでカギとなるのは、トランプ氏が17年5月に解任したコミー前FBI長官だ。コミー氏は初期段階のロシア疑惑の捜査を指揮した。

コミー氏によると、トランプ氏は17年1月の夕食会で「誠実な忠誠心」を繰り返し要求した。その後には共謀疑惑の渦中にあった元大統領補佐官フリン被告に対する捜査の打ち切りを迫った。コーツ国家情報長官に対して捜査停止をコミー氏に促すよう求めたこともあった。

トランプ氏は疑惑捜査を「魔女狩りだ」とたびたび主張し、モラー氏やローゼンスタイン司法副長官を非難してきた。捜査当局の畏縮を招くこうした非難自体が、捜査妨害とみなされるとの指摘もある。

モラー氏の捜査を監督するウィテカー司法長官代行は1月下旬、「捜査は終了に近づいている」と説明した。米メディアでは、モラー氏が2月中にも捜査報告書をまとめて司法省に提出するとの観測が出ている。捜査が終われば、舞台は大統領弾劾の発議を判断する議会に移ることになる。

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