2019年5月23日(木)

人繰り支える省力化・外国人 18年の中国5県求人倍率上昇

2019/2/1 21:15
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中国地方で深刻化する人手不足に対応しようと、企業が省人化や外国人活用に力を入れている。厚生労働省が1日発表した2018年の中国5県の有効求人倍率は1.87倍と、前の年と比べて0.16ポイント上昇。27年ぶりの高水準となった。西日本豪雨の影響から徐々に回復し、景気が緩やかに上向きつつあるなか、企業や自治体は人手不足対策に知恵を絞る。

イズミ(広島市)ではセルフレジの導入が進む(ゆめタウン廿日市、廿日市市)

有効求人倍率は広島県が2.05倍、岡山県が1.95倍、山口県が1.58倍、島根県が1.72倍、鳥取県が1.64倍だった。いずれの県も前の年と比べて上昇した。山口では平成で過去最高を記録した91年と並ぶ水準となった。中国5県の平均は全国平均(1.61倍)を大きく上回り、10地域の中で最も高かった。

広島の有効求人倍率は東京都と福井県に次いで全国3番目。サービス業や小売業など、全国的にも人手不足が深刻な業種で新規求人が増加した。全国に店舗を持つ小売業などが出すまとまった新規求人があった。

人手不足は深刻で、おのみちバス(尾道市)は尾道駅と広島空港をつなぐ空港バスの運行を1月上旬で廃止。同社は「運転手不足により運行要員の確保が難しくなった」とする。西日本豪雨の復興工事の需要増で「当面は業況はプラスだが人手不足は深刻」(県内の建設業)との声もある。

慢性的な人手不足に対応しようと企業は省人化に取り組んでいる。イズミ(広島市)では中四国や九州で店舗内のセルフレジを設けたのに加え、1月下旬にゆめタウン廿日市(廿日市市)にショッピングカートレジを20台導入した。買い物客が商品をカートに入れる際に事前にスキャンする。セルフレジでの精算を効率的にする。

岡山県を中心に食品スーパーを展開する天満屋ストアでは19年2月期、新たに17店舗でセルフレジを導入。全48店舗のうち19店舗で導入済みで、来期中には3分の2程度まで増やしたいとしている。

外国人の活用も各県で広がっている。18年10月末時点で中国5県の外国人労働者は約6万3000人と、前年同月末と比べ1割強増えた。山口県と九州を地盤とするスーパー、リテールパートナーズ(防府市)ではベトナム人技能実習生の受け入れを進める。18年は6月と9月で50人採用した。今後も年60人程度の受け入れを続ける意向だ。

鳥取県は19年4月に外国人の生活全般の相談に応じる窓口「外国人総合相談センター」(仮称)を県内3カ所に設置するなど、外国人材活用の支援を拡充する。外国人向けの日本語学習の支援や多言語対応できる情報通信機器の配備などを進める方針だ。

人口減 移住策を拡充

中国5県の有効求人倍率が高水準となるなか、人口流出はさらに進んでいる。総務省がまとめた住民基本台帳に基づく人口移動報告によると、中国5県はいずれも転出者が転入者を上回った。大阪府、東京都など大都市圏の最低賃金の上昇などが背景だ。

人口流出を受けて岡山県では移住や定住促進策を拡充。2019年度当初予算案に向けて、中山間・地域振興課が「岡山移住・定住促進パワーアップ事業」として、18年度当初予算比で1100万円ほど多い約7100万円を要求した。

東京・新橋のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」に「おかやま就職・移住応援センター」(仮称)を設置し、移住支援コーディネーターを2人配置。首都圏で相談体制を拡充し、希望者の相談にワンストップで対応できるようにする。Uターンを考える人材の呼び込みなど人口減に向けた対策の強化が各県に求められそうだ。

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