全日空系に改善勧告 国交省、飲酒の機長ら業務停止
全日本空輸のグループ会社「ANAウイングス」の男性機長=懲戒解雇=から1月にアルコールが検出され遅延便が発生した問題で、国土交通省は1日、同社に業務改善勧告を出した。同時に男性機長と、機長に口裏合わせを頼まれて応じた副操縦士をそれぞれ1年間、10日間の航空業務停止処分とした。

業務改善勧告は、行政指導の中では最も重い措置。同社の安全管理体制は「十分に機能していない」とし、飲酒対策の抜本的な再構築を求めた。
機長らの業務停止は資格の取り消しに次ぐ重い処分で、機長の1年間は処分を科せる期間として最長。飲酒を理由とする処分では過去最も長いという。運航規程に反して乗務の12時間前を過ぎても飲酒を続けていたことに加え、副操縦士に口裏合わせを依頼したことを重くみた。
ANAウイングスに対しては、運航規程に反する飲酒があったことや、2018年12月に別の機長の飲酒問題で厳重注意を受けたにもかかわらず、改善の取り組みが十分に行われていなかったことが航空法に違反するなどと指摘した。
全日空によると、男性機長は飲食店で乗務の約9時間半前まで飲酒。飲んだアルコール量は許容量の2倍以上だった。機長は当初、飲酒量や時間、場所について同席した副操縦士と口裏を合わせ、うその説明をしていた。
乗務前の検査でアルコールが検出され、別の機長と交代。乗務予定だった大阪発宮崎行きなど1月3日の計5便に最大約1時間40分の遅れが出た。
石井啓一国土交通相は1日の閣議後の記者会見で「違反行為が安全上重大な問題であるという認識や法令順守の意識が組織的に欠如しており極めて遺憾」と指摘した。