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かわいいだけじゃない 大坂なおみの不思議な魅力
スポーツコメンテーター フローラン・ダバディ

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2019/2/3 6:30
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テニスの全豪オープンで四大大会連覇を果たした大坂なおみ(日清食品)はコートの内外を問わず、意表を突くのが大好きだ。眠たげなワニといっては言いすぎだが、目を細めて周囲の様子をうかがっている彼女は抜け目がなく、生き抜く知恵を持っている。創造力豊かな現代っ子でもある。日本のメディアやファンが大坂を「かわいい」とばかり形容するのは、たどたどしい日本語での発言が中心に取り上げられるからだ。

本人も「普段は1日に10フレーズ話すかどうか」と言うように、インタビューや記者会見での大坂はおとなしく、内気な印象を与える。しかし彼女には知的で面白い一面もある。求められれば、コートでの心理状態を哲学的な表現で語ることもできる。

決勝最終セットでは感情を消し、大坂は「空っぽになってプレーした」と振り返った=ロイター

決勝最終セットでは感情を消し、大坂は「空っぽになってプレーした」と振り返った=ロイター

「赤ちゃんの顔した殺し屋」?

全豪オープン女子シングルス決勝、勝利寸前までいった第2セットを落とした後、見事に立て直した最終セットについてはこう語っている。「空っぽになってプレーしていました。粛々と命令をこなすことを義務付けられたロボットのようでした」。大舞台での心理状態を客観的に振り返り、SFのような比喩で的確かつ詩的に表現している。男子シングルスを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)はサイボーグのような正確なプレーをすることで知られるが、決勝の大坂も"アンドロイド"のようだった。

トレーニングコーチのアブドゥル・シラーさんは最近のツイッターへの投稿で大坂のことを「赤ちゃんの顔をした殺し屋」と呼んでいる。これはちょっと言いすぎだが、彼女が伊達公子さんのインタビューに対し、好きな動物を「シャチ」と答えたのは示唆に富んでいた。水族館やテーマパークのショーで子どもに人気のシャチは、コート上の大坂がときに無慈悲な勝負師となるように、大海ではどう猛な姿を見せる。無邪気な見かけの下に、人を食ったようないたずら心を忍ばせた彼女の答えは「なおみ節」の真骨頂だった。

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