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狙われる「円」、日銀のETF出口戦略に改めて注目

2019/2/1 9:51
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米連邦準備理事会(FRB)の資産圧縮を巡る市場の混乱は、日本にとっても他人事ではない。

日銀の資産規模は550兆円を超え、量的緩和終了時のFRBの総資産額(4.5兆ドル規模)を上回る。日本の国内総生産(GDP)をしのぐこともメディアでは話題になった。

特に日銀特有の問題として、25兆円規模に膨らんだ株式の上場投資信託(ETF)の保有残高が挙げられる。

日本株に関して、外国人投資家たちから寄せられる「定番」のトピックだ。

FRBの資産圧縮も、未知の海域の海図なき航海を強いられているが、保有資産は債券であるため償還がある。償還期を迎えた保有債券の再投資を止めることで、穏やかなペースの自然体で保有資産を圧縮できる。しかし、株式に償還はない。ETF保有残高の約25兆円は日銀の総資産の中でさほど大きくないが、株式市場に対する影響は大きい。

午前中に株価が下がると、午後2時ごろには市場のあちこちで日銀の買い出動を期待する声がささやかれ出す。仮に日銀の黒田東彦総裁の記者会見で、保有ETFの出口戦略について言及されるだけでも株価は下がるだろう。放置されれば、株価のゆがみが懸念される。

日銀という「物言わぬ株主」が大手企業の大株主となる現象は、欧米市場から見れば異常だ。日本株が「エキゾチック」といわれるゆえんでもある。外国人投資家でも、年金基金のような長期投資家はこの問題が「いずれ臨界点が不可避」とみて注視する。筆者はニューヨーク市場で、日銀の買いが日経平均株価を4000円程度かさ上げしているとの試算を示されたこともある。

いっぽう、1月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBの「金融政策転換」に接した米ウォール街では、「FED(FRB)を疑え」の合言葉がますます強まってきた。イエレン前FRB議長の時代には「FEDには逆らうな」といわれた。株価が下がればFRBが緩和姿勢を見せることで下値をヘッジしてくれる「イエレン・プット」が市場の支えになった。しかしパウエルFRB議長の時代になり「パウエル・プット」はあてにならない、との見方が増えている。FOMCであらわになった緩和姿勢は、たしかに株価上昇につながった。しかし、前言を簡単に覆すパウエル流は「朝令暮改」の印象も市場に与えている。

警戒感がくすぶっていたフェイスブックの株価が、好決算を受けて時間外取引で通常取引の終値を一時12%超上回った。こうした現象を見せつけられると、FRBが資産価格の上昇を理由に再び(金融引き締めに前向きな)タカ派に転換するシナリオまで意識される。年末年始の株価変動がFRBの(金融引き締めに慎重な)ハト派バイアスを強めたとされるが、皮肉なことに、2019年1月のS&P500種株価指数は1989年1月以来の月間上昇幅を記録した。まだ利上げや資産圧縮の早期終了を素直に織り込める状況ではない。

年内には記者会見付きのFOMCがあと7回残っている。そもそもは市場との対話を重視する姿勢とみられたが、今回を見る限り、毎回、FRBの方針転換を見極める展開となりそうだ。

短期投機筋のヘッジファンドなどは、昨年の記録的損失を挽回するチャンス到来とばかりに期待を込めて身構える。その標的の一つが「円相場」だ。FRBがハト派ならドル売り・円買い、タカ派ならドル買い・円売りだ。実質実効レートなどはお構いなしに、モメンタム(市場の勢い)に乗って高速売買を駆使する。18年末に1日で1ドル=113円から104円までの円高を演出した事例は、プロローグとでもいえようか。日本ではゴールデンウイーク(GW)の10連休、この「留守」期間中は要注意であろう。

今回のFOMCは「2019パウエル劇場」のプロローグだったのかもしれない。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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