LINE、前期37億円赤字も猪突猛進の金融AI投資

2019/1/31 17:37
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LINEが31日に発表した2018年12月期の連結最終損益は37億円(前の期は80億円の黒字)の赤字だった。IT(情報技術)と金融を融合するフィンテックや人工知能(AI)を中心とした戦略投資が膨らんだのが要因だが、19年はこの投資を倍増させる。国内7900万人の顧客基盤と親会社の韓国検索大手のネイバーの資金力を後ろ盾に、猪突(ちょとつ)猛進の投資を続ける。

決算発表するLINEの出沢剛社長(31日午後、東京都新宿区)

「今は激動のタイミング。非常に大きな投資をしていく」。31日に東京都内の本社で開いた決算会見で、出沢剛社長は「戦略分野への投資を18年の2倍の600億円実施する」と宣言した。

同日に発表した前期の連結決算は売上高が前の期比24%増の2071億円だった。月間利用者数は7900万人と1年前から600万人増えた。一方で、積極投資の影響で税引き前利益は33億円と82%減になった。

18年12月末の社員数は約7000人と、1年で2000人増えた。今後の従業員数の増加に向けて、新たなオフィスを都内4カ所で設ける。「戦略事業は3年での収益化を目指すが、19年は全体として投資先行になる」(出沢社長)という。

同社が利益を度外視したように見える投資を続けられる理由の1つが、親会社に韓国の検索最大手のネイバーがいることだ。LINEは9月に新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行し、19年から21年の成長事業への投資資金1480億円を調達。その約半分をネイバーが引き受けた。

ネイバーが同日発表した18年19年の連結純利益は6364億ウォン(約620億円)だった。資金力を持つ親会社に「最大のサポーターとして支援してもらっている」(出沢社長)構図だ。

2つ目には、7900万人の顧客基盤を生かした広告事業が安定収入源となり始めたことがある。18年12月期の広告事業の売上高は30%増の1082億円と、売上高全体の半分を占める。

同社は広告の収益力を高めるために広告配信システムを18年に全面改修し、1月から新システムの本格運用を始めた。電子商取引(EC)の購買データなどと連携し、効率的な広告配信ができるようになった。既存事業で稼いだ資金はAIやフィンテックなどの成長分野に投じていく。

LINEの主力である対話アプリは世界の勢力図がほぼ固まったとされる。米フェイスブックのワッツアップとメッセンジャー、中国の騰訊控股(テンセント)の「ウィーチャット」は月間利用者が10億人を超える。

LINEは国内では首位だが、海外全体の利用者数では約2億人。海外での利用者数拡大よりも、金融や電子商取引(EC)など様々なサービスを対話アプリに集約し、国内の顧客を深掘りする戦略にカジを切った。

LINEの成長戦略に対して、株式市場は半信半疑だ。株価は18年1月に付けた上場来高値(5450円)から3割安い。証券や銀行など新サービスの収益化の方向が見えず、スマホ決済でも引き続き費用がかさむとの警戒感が根強い。SMBC日興証券は18年12月に「想定以上の費用増」を主因として、LINEの20年12月期までの利益予想を引き下げた。

AIや金融など事業領域が拡大するにつれて、圧倒的に規模で勝る海外IT大手と競合するようになる。17年に投入したAIスピーカーでは米グーグルや米アマゾン・ドット・コムの攻勢を受ける。戦略事業の収益化への道筋や競争優位性を示せるかが今後の成長のカギとなりそうだ。

(広井洋一郎、成瀬美和)

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