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100球制限の是非は? 新潟県高野連が投じた一石
スポーツライター 丹羽政善

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2019/2/4 6:30
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昨年12月下旬、新潟県高校野球連盟が2019年の春季県大会限定ながら、1人の投手が1試合で投げられる球数を100球に制限すると発表した。これに対して日本高校野球連盟は、否定的とされる。2月20日の理事会で正式な見解が出る予定だが、どんな議論となるのか。

メンツや政治的な駆け引きをするのではなく、高校生を故障から守るために、一度専門家を交えて徹底的に検証しようという展開を期待するが果たして……。

2018年夏の全国高校野球選手権大会決勝戦で力投する金足農の吉田輝星=共同

2018年夏の全国高校野球選手権大会決勝戦で力投する金足農の吉田輝星=共同

話を進める前に現場の声を拾ってみると、ある高校の野球部部長はこんな意見だった。

「各校の指導者が独自に決めればいいと思います」

選手を守るという目的に異論はなくても、彼らの能力、特に高校生のレベルでは大きな幅がある。チーム事情もあり、それを一つの枠にはめること自体、無理があるのではないかという考え。

それを聞いて思い出した。今はもう改定されたようだが、昔、米国の運転免許証を取るとき、筆記テストに「運転を認められるのは、アルコール飲料何杯までか?」という有名な問題があった。

答えは1杯。ビールでもワインでも、1杯までなら飲んで運転してもいいですよ、が正解だった。しかしもちろん、個人差がある。さらに種類によってアルコールの度数も違う。

この話を日本の友人にするとだいたい笑うが、たとえば1年生と3年生とではまるで体格も異なる高校生全体に一律100球の制限を設けることも、同様にナンセンスではないか。

投球障害の予防をどう考えるか

かといって、このままでいいということではない。では、投球障害の予防をどう考えたらいいのか。

筑波大学の元硬式野球部部長で、野球医学を専門とする馬見塚(まみづか)尚孝さんは高校生を故障から守るため、「よき指導要領とそれを学ぶ仕組み」の導入を提唱する。馬見塚さんは高分解能MRI(磁気共鳴画像装置)診断研究やコーチング学、スポーツ工学など幅広い分野の知識をもとに今春、川崎市に「ベースボール&スポーツクリニック武蔵小杉」(仮称)を開業する予定で、同クリニック副院長でもある。

「近年、野球障害を予防し、パフォーマンスを高め、よき人材育成につながるサイエンスがどんどん進歩しています。試合での投球数制限以外にも、『投球障害リスクのペンタゴン(後述)』をはじめとする障害予防とパフォーマンスの両立法などの知識を含んだ指導要領を野球の連盟が作成し、その指導要領を指導者や選手、保護者が学ぶ仕組みも早期に考える必要があると思います」

「確かに短期的にはルール化したほうが早く選手を守れますので、その場合は試合での投球数と投球障害発症の関係を調査してエビデンスの質をあげたいところです。ほかにも、甲子園大会や地方大会での投手の投球数とその後の投球障害発症率調査や、甲子園に導入された『トラックマン』という動作分析システムなどを用いて、投球に伴う『疲労』を調べるのもよいでしょう。このような調査を行うことによって、より質の高い『根拠』が示せるのだと考えます」

(ベースボールクリニック誌「『野球医学』への招待」 第14回「甲子園での投球制限は是か非か?」に加筆修正)

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