2019年6月17日(月)

パウエルFRB議長会見、「状況把握できるまで様子見」

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2019/1/31 7:52
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FOMC後に会見するパウエルFRB議長(30日、ワシントン)=AP

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は30日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の終了後に会見した。

我々の目標は米国民の利益のために労働市場の強化と物価安定をもたらす経済成長を維持することだ。米景気の状態は良好であり、それを維持するために金融政策をツールとして使っていく。労働市場は強固な状態を維持し、失業率は歴史的低水準で賃金上昇率も堅調だ。インフレ率は2%の目標水準近くで推移している。米経済は2018年よりも成長が鈍化しているものの、19年も堅調なペースで拡大するとみている。現在の金融政策のスタンスは適切であると我々は判断している。

こうした前向きの見通しがあるものの、過去数カ月間にいくつかの逆風や我々の見通しに相反する景気のサインも散見される。海外には経済成長の鈍化が目立ってきた主要国もある。とくに中国と欧州だ。また政治的解決策が出ずに不透明感が高まっている問題もある。英国のEU離脱、貿易摩擦を巡る交渉、米国の政府機関の部分的閉鎖の問題がそれだ。18年終わりには金融市場がかなりのレベルで逼迫し、18年の初めまで享受した成長率を維持するのが難しくなった。これまでのところ発表された経済指標は堅調だが、企業経営者や消費者の信頼感を示す指標は低下を示しており、注意する必要がある。

我々の金融政策はデータ次第であるということはいつも強調している。言い換えれば経済の動向や見通しが変化するのに伴い、そうした新しい情報を踏まえて金融政策を設定するということだ。現在、我々は堅調なマクロ経済と矛盾するような状況に直面し、それを証拠づける逆風も垣間見られる。こうした局面での常識的リスク管理のやり方は、状況が明確に把握できるまでは様子見をすべきだということだ。これは金融政策当局者が過去にも経験したアプローチだ。その上で、米連邦公開市場委員会(FOMC)がこうした問題をどう見ているかをここで披露したい。

12月の会合では着実な経済成長と旺盛な雇用増、物価安定という堅調な見通しを示した。また、金利引き上げの規模とタイミングは不透明であり、データと変動する見通し次第であることも表明した。そのため、我々が世界景気の見通しと金融市場の状況を注視しながら我が国の経済見通しを分析するという立場を示した。

本日、過去数カ月間にこうした変化が積み上がった結果、将来の金融政策の変化については様子見のアプローチをとることを決定した。それは本日発表した声明文で次のように強調した。「世界経済と金融市場の動向、インフレ圧力が低い状況に照らして、将来のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導水準をどう調整するかを決定する際にFOMCは様子見をする」

経済見通しの基盤がシフトしたからこの変化が起こったわけではない。多くのエコノミストと同様に我々も「持続的経済成長と強固な労働市場、インフレ率は2%を維持する」という可能性が高いとみている。しかし、前述した逆風のためにやや好ましくない見通しのリスクが高まったといえる。

加えて、金利を引き上げる必要性がやや低下したともいえる。超低金利があまりにも長く続いた場合にもたらされるリスク、とくにインフレ高騰のリスクから経済を守るというのが利上げをする伝統的なケースだ。しかし、過去数カ月間にこのリスクは明らかに縮小した。インフレ率は低下し、先ごろの原油価格の下落によって、今後さらにインフレ率全体が下がることが予想される。さらに声明文で示したように、聞き取り調査ベースのインフレ期待は安定しているものの、ブレークイーブン・インフレ率という金融市場の利回りで測ったインフレ率は低下傾向となっている。同様に金融市場におけるリスク投資への意欲は昨年以降、平常水準に戻っており、金融市場の不均衡のリスクも低下している。

こうした環境の下では、金融政策の変更をする前に現状分析をする上で辛抱強い姿勢で景気をサポートするのが最良の選択だと確信している。

ここでバランスシートの平常化の議論に移りたい。過去3回の会合でFOMCはこのプロセスの最終段階についての詳細な議論をした。きょうの会合では、今後のこのプロセスを明確する上で重要な成果を得た。これはいつもの声明文と一緒に発表した「金融政策実施とバランスシートの平常化についての声明文」で要約した。

FOMCは本日、金融政策の施行のための現行の操作手順を無期限に継続するという基本的な決断をした。これは、準備金の積極的な管理を必要とせず、準備金に対する金利によって政策金利を管理する方法だ。これは「フロアシステム」や「豊富な準備金システム」と呼ばれる。現在の一連の操作手順の下では、連邦準備銀行の準備金に対する金利を適切に設定することとオーバーナイト・レポ金利によって、FF金利を目標レンジ内にとどめており、準備金の供給量の積極的な調整はされていない。

最近のFOMC議事要旨が示すように、FOMCは、このアプローチが様々な市場環境において短期のマネーマーケット金利をうまく管理できる方法だと強く信じている。この点を明確にすることで、バランスシートの正常化に関するさらなる疑問を議論する道が開ける。

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