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海藻「アカモク」を名物に 高栄養に着目し商品開発

朝日共販と愛媛大

愛媛県伊方町で漁船に巻き付くなど厄介者とされる海藻「アカモク」を新たな名物に育てる取り組みが始まった。高い栄養価に着目し、海産物加工販売の朝日共販(同)がアカモクのドレッシングなど愛媛大学と共同開発した4商品を町内の道の駅などで販売を開始した。今後は大手スーパーの店頭などにも並べ、アカモク関連で年間2億円の売上高を目指す。

「味がしっかりしていてお茶漬けにしたらおいしそう」「酒のつまみにもぴったり」。愛媛大の松山市内のキャンパスで1月下旬、アカモクを使った加工食品がお披露目された。

アカモクはモズクに似た海藻で日本の沿岸に広く分布する。東北の一部では食用とされてきたが、漁船や素潜りの妨げになることから敬遠されていた。そんな厄介者が最近、健康食品として注目を集めている。ミネラルや食物繊維が豊富に含まれるほか、海藻のネバネバ成分として知られる「フコイダン」と「フコキサンチン」が、血中コレステロールの抑制や脂肪燃焼の促進など、生活習慣病予防に効果があるとされるからだ。

愛媛大大学院農学研究科の菅原卓也教授らによる研究では、マウスにアカモク抽出物を配合した飼料を与える実験で、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状を顕著に抑制する効果が確認された。菅原教授は「(抗アレルギーの)保健機能食品の素材としても可能性を感じる」と期待する。

朝日共販と愛媛大の学生17人は、2018年春から商品開発に向けた取り組みをスタート。学生が伊方町を訪れ、地元漁師の意見を聞くなど商品化のアイデアを練った。

開発したのはサラダ用ドレッシング、ネバネバを軽減したつくだ煮、子どもでも食べやすいふりかけ、おつまみにも合うラー油の4商品。参考販売価格はいずれも500~600円で、朝日共販直販所や伊方町内の道の駅で扱っている。今後は松山空港などでの販売も予定する。同研究科1年の河野美帆さん(24)は「おすすめ料理も提案している。アカモクを知らない人にも気軽に食べてもらいたい」と話す。

朝日共販はシラスの加工販売で知られるが、2年ほど前からアカモクに注目。18年には八幡浜漁業協同組合(愛媛県八幡浜市)からの購入や自社グループの漁師による収穫で250トンが確保できたという。18年3月には約3000万円を投じ本社工場に加工ラインを整備。アカモクを湯通しした商品を販売している。

2月にはイオン系のスーパーにプライベートブランド(PB)商品としての供給を始める。大手コンビニと組んでの食品展開も3月に計画する。花粉症シーズンに向けて販売を本格化し、今後1年で関連商品の売上高2億円を目標とする。

伊方町は人口9400人ほどで高齢化による人口減少が進む。立地する四国電力伊方原子力発電所1、2号機の廃炉により、地域経済の先細りも懸念される。福島大朝社長は「アカモクをシラスに続く地域資源の柱に育てたい。地元の雇用創出にもつながれば」と力を込める。(棗田将吾)

 朝日共販 石材や漁業の福島産業がシラスの加工販売会社として1995年に設立。佐田岬周辺で自社で水揚げしたシラスを加工する鮮度が強み。カニの加工販売も手掛ける。イオンや生活協同組合など全国に販路を持ち、2019年3月期の単体売上高は前期比1割増の65億円を見込む。

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