ファミマ、セゾンと決別 消える「無印」ドンキ色じわり
ファミリーマートが良品計画の生活雑貨「無印良品」の販売を終了する。もともと旧セゾングループに属していた両社が、1980年代初頭から約40年にわたって続いた関係を絶つ。売り上げが伸び悩んでいたなか、伊藤忠商事の子会社となるなどファミマ側の経営体制の刷新も判断を後押し。今後はファミマの店舗に提携する「ドンキ」の要素も反映されそうだ。

「ファミマに行く理由がなくなる」――。ファミマでの「無印」ブランドの販売終了を受け、SNS(交流サイト)では惜しむ声が広がった。ファミマは28日に店舗からの発注を停止しており、在庫がなくなり次第、全約1万7千店が順次販売を終える。
扱いをやめる理由について良品計画は「ファミマ側の意向」とする。対するファミマ幹部は「売り上げが伸び悩んでおり売り場構成の見直しの一環」と話す。無印良品の店舗が増えたりネット通販でも購入できるようになったりしたことなどが響いたという。
ファミマの判断について競合するコンビニ大手幹部は「売れ行きが悪い商品を見直すのは基本。売れないのなら、これまで販売を続けてきたことの方が不思議だ」と指摘する。
ファミマと良品計画は旧セゾングループから生まれた。ファミマは81年、セゾングループの中核企業の一つであった西友ストアーから、小型店事業として分離して発足。「無印良品」は80年、西友のプライベートブランド(PB)として誕生し、その後良品計画という企業として独立した経緯がある。セゾングループ解体後も、06年には株式の持ち合いを発表するなど商品供給を軸とした連携を続けてきた。
だが、この2~3年でファミマ側の経営体制は大きく変わった。16年、ユニーと経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足。18年8月にはユニー・ファミマが伊藤忠商事の子会社となった。
「無印の商品も販売が伸びないなら見直す」。新体制と前後してファミマの経営幹部からは売り場の聖域なき見直しの指示が下された。現場には固定ファンがいるとの反対意見もあったが、幹部の指示により事態が動く。18年から段階的に売り場削減を始め、同年9月までに1店あたり2~3台あった無印の専用棚を1台に減らした。さらに影響が少なかったとみて、全面的に扱いをやめる判断に踏み込んだ。
ファミマは無印をやめた後の売り場について「特定の分野の商品を広げるわけではない」といい、今後は利益率の高い日用品のPBなどを広げるとみられる。提携するドン・キホーテの品ぞろえや陳列手法を導入して昨年6月に開店した実験店3店舗から得られた成果を、全店で展開する考えだ。
良品計画側も扱い縮小に伴い、ファミマとの関係を見直した。18年2月末時点でユニー・ファミマ株を100万株保有していたが、その後段階的に売却したとみられる。ファミマと良品計画の間にわずかばかり残っていたセゾンのつながりは消えた。