2019年4月20日(土)

統治不全生んだ「すれ違い」 ゴーン元会長と日産
本社コメンテーター・中山淳史

ゴーン退場
自動車・機械
2019/1/30 18:00 (2019/1/30 18:36更新)
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20分間の短い取材だった。黒のフリース、グレーのスエットパンツ姿で東京拘置所(東京・小菅)10階の面会室に現れたカルロス・ゴーン日産自動車元会長は思った以上に元気そうで、精悍(せいかん)になった印象さえ感じさせた。

「時間がない。始めよう」。アクリル板ごしに取材が始まると、元会長はまくしたてるように話し始め、発言をメモする係官も手が追いつかない様子だった。15分の規定時間が近づくと「少し延長できないか」と係官に自ら直談判した。5分の延長が認められた。

日本経済新聞社は昨年のゴーン元会長逮捕以降、正規のルートを通じて同氏への単独取材を要請してきた。承諾の知らせが来たのは今週だった。規定時間内に面会を終えられるよう、あらかじめ英文の質問書を送り、取材当日もすべて英語でやり取りした。

パリでルノーの取締役会に出席して自らの立場を説明し、その後に記者会見をする。そんな計画もあったようだ。だが、勾留の長期化で実現のめどは立たず、先週にはルノーの最高経営責任者(CEO)の職も解かれた。復権や名誉の回復には暗雲が漂っていた。

有罪か、無罪か。すべては裁判で判断されるべきことだ。ただ、日産子会社を通じてブラジルやレバノンに自宅用物件を購入したとの疑惑について質問が及んだ時だった。元会長は「私は弁護士ではない。問題があるのならなぜ(その時に日産の関係者が『会長、それはだめです』と)私に教えてくれなかったのか」と眉をつり上げながら反論していた。

東京拘置所で取材に応じるゴーン元会長(イラストはデザイン編集部・萩原始)=面会した記者の説明を基に作製しました

東京拘置所で取材に応じるゴーン元会長(イラストはデザイン編集部・萩原始)=面会した記者の説明を基に作製しました

「みなが知っていた」とすれば、日産の関係者にも不作為があった可能性がある。元会長による人事面での報復を恐れた。「会長だから仕方ない」との忖度(そんたく)が働いた――。理由は様々考えられるが、報酬などをめぐる問題がルノーでは起きず、日産だけで起きたことを考え合わせれば、日産のガバナンスが取締役会から執行の様々な層に至るまで、機能不全に陥っていたことは確かだろう。

自分が日産を救ったリーダーだと信じていた元会長。いつしか独裁者だと感じるようになったそれ以外の人々。問題の底流には両者のすれ違いもあったとは言えないか。

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