統計問題調査、厚労省次官級同席 新たな不適切処理も
毎月勤労統計の不適切調査問題を巡り、厚生労働省が設けた特別監察委員会による厚労省職員への聞き取りに次官級の宮川晃厚労審議官や、定塚由美子官房長が同席していたことが28日、わかった。第三者委員会の調査に内部の首脳がかかわり、中立性を欠いた恐れがある。厚労省の賃金構造基本統計調査でも不適切な調査が見つかり、問題は広がっている。
定塚氏が28日夜、報道陣の取材に対して宮川氏も聞き取り調査に同席していたことを認めた。定塚氏は厚労省を退職した職員など5人の聞き取りに立ち会った。聞き取りは監察委の委員が実施したが、定塚氏が質問することもあったという。現役幹部の前で過去の不祥事を正直に話せたかどうか疑問が出る。
厚労省は同日、不適切調査に関する資料を野党に示した。監察委の聞き取りはのべ40人。1回あたり10~100分だった。部局長級の1人への聞き取りは電子メールですませていた。
基幹統計の総点検を進めてきた総務省は同日、労働者の雇用形態別の賃金などを示す厚労省の賃金構造基本統計調査でも不適切な調査があったと発表した。調査員が訪問すべきところを郵送で実施し、バーやキャバレーが調査から漏れていた。統計法違反の可能性がある。不適切な問題が見つかった基幹統計は計56統計のうち23統計となる。
統計の専門家でつくる日本統計学会は同日、「公的統計の信頼性に深刻な打撃を与えた」と厚労省を批判したうえで、再発防止策を求めた。