2019年9月20日(金)

施政方針演説の全文

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2019/1/28 18:30
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安倍晋三首相の所信表明演説の全文は次の通り。

衆院本会議で施政方針演説をする安倍首相(28日)

衆院本会議で施政方針演説をする安倍首相(28日)

一 はじめに

平成最後の施政方針演説を、ここに申し述べます。

本年4月30日、天皇陛下が御退位され、皇太子殿下が翌5月1日に御即位されます。国民こぞって寿(ことほ)ぐことができるよう、万全の準備を進めてまいります。

「内平らかに外成る、地平らかに天成る」

大きな自然災害が相次いだ平成の時代。被災地の現場には必ず、天皇、皇后両陛下のお姿がありました。

阪神・淡路大震災で全焼した神戸市長田の商店街では、皇后陛下が焼け跡に献花された水仙が、復興のシンボルとして、今なお、地域の人々の記憶に刻まれています。

商店街の皆さんは、復興への強い決意と共に、震災後すぐに仮設店舗で営業を再開。全国から集まった延べ200万人を超えるボランティアも復興の大きな力となりました。かつて水仙が置かれた場所は今、公園に生まれ変わり、子どもたちの笑顔であふれています。

東日本大震災の直後、仙台市の避難所を訪れた皇后陛下に、一人の女性が花束を手渡しました。津波によって大きな被害を受けた自宅の庭で、たくましく咲いていた水仙を手に、その女性はこう語ったそうです。

「この水仙のように、私たちも頑張ります」

東北の被災地でも、地元の皆さんの情熱によって、復興は一歩一歩着実に進んでいます。平成は、日本人の底力と、人々の絆がどれほどまでにパワーを持つか、そのことを示した時代でもありました。

「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」

明治、大正、昭和、平成。日本人は幾度となく大きな困難に直面した。しかし、そのたびに、大きな底力を発揮し、人々が助け合い、力を合わせることで乗り越えてきました。

急速に進む少子高齢化、激動する国際情勢。今を生きる私たちもまた、立ち向かわなければならない。私たちの子や孫の世代に、輝かしい日本を引き渡すため、共に力を合わせなければなりません。

平成の、その先の時代に向かって、日本の明日を、皆さん、共に、切り開いていこうではありませんか。

二 全世代型社会保障への転換

【成長と分配の好循環】

この6年間、3本の矢を放ち、経済は10%以上成長しました。国・地方合わせた税収は28兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高、62兆円を超えています。

そして、この成長の果実を、新3本の矢によって、子育て支援をはじめ現役世代へと大胆に振り向けてきました。

児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は24%から42%に上昇し、悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。1993年以来、一貫して増加していた現役世代の生活保護世帯も、政権交代後、8万世帯、減少いたしました。

5年間で53万人分の保育の受け皿を整備した結果、昨年、待機児童は6000人減少し、10年ぶりに2万人を下回りました。子育て世代の女性就業率は7ポイント上昇し、新たに200万人の女性が就業しました。

成長の果実をしっかりと分配に回すことで、次なる成長につながっていく。「成長と分配の好循環」によって、アベノミクスは今なお、進化を続けています。

【教育無償化】

我が国の持続的な成長にとって最大の課題は、少子高齢化です。平成の30年間で、出生率は1.57から1.26まで落ち込み、逆に、高齢化率は10%から30%へと上昇しました。

世界で最も速いスピードで少子高齢化が進む我が国にあって、もはや、これまでの政策の延長線上では対応できない。次元の異なる政策が必要です。

子どもを産みたい、育てたい。そう願う皆さんの希望をかなえることができれば、出生率は1.8まで押し上がります。しかし、子どもたちの教育にかかる負担が、その大きな制約となってきました。

これを社会全体で分かち合うことで、子どもたちを産み、育てやすい日本へと、大きく転換していく。そのことによって、「希望出生率1.8」の実現を目指します。

10月から3歳から5歳まで全ての子どもたちの幼児教育を無償化いたします。小学校・中学校9年間の普通教育無償化以来、実に70年ぶりの大改革であります。

待機児童ゼロの目標は、必ず実現いたします。今年度も17万人分の保育の受け皿を整備します。保育士の皆さんの更なる処遇改善を行います。自治体の裁量を拡大するなどにより、学童保育の充実を進めます。

来年4月から、公立高校だけでなく、私立高校も実質無償化を実現します。真に必要な子どもたちの高等教育も無償化し、生活費をカバーするために十分な給付型奨学金を支給します。

家庭の経済事情にかかわらず、子どもたちの誰もが、自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる。そうした社会を創り上げてこそ、アベノミクスは完成いたします。

子どもたちこそ、この国の未来そのものであります。

多くの幼い命が、今も、虐待によって奪われている現実があります。僅か5歳の女の子が、死の間際につづったノートには、日本全体が大きなショックを受けました。

子どもたちの命を守るのは、私たち大人全員の責任です。

あのような悲劇を二度と繰り返してはなりません。何よりも子どもたちの命を守ることを最優先に、児童相談所の体制を抜本的に拡充し、自治体の取り組みを警察が全面的にバックアップすることで、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。

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