2019年6月26日(水)

「リーマン破綻 帰趨みえず」 08年7~12月日銀議事録

2019/1/29 8:51
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日銀は29日、2008年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。この年の9月に米リーマン・ブラザーズが破綻し、世界に金融危機が広がった。日銀の政策金利はすでに0.5%と低かったものの、経済・金融情勢が急激に悪化するなか、ぎりぎりの判断で2度の利下げを迫られた経緯が明らかになった。

決定会合に出席する白川総裁(中)(2008年10月)

決定会合に出席する白川総裁(中)(2008年10月)

リーマンが米連邦破産法11条の適用を申請したのは9月15日。日銀にとっても想定外だった。翌16~17日の決定会合では、中曽宏金融市場局長(肩書は当時、以下同じ)が「全くフェーズが変わってしまった」と資料を追加し、緊迫する市場の様子を伝えた。

白川方明総裁は「金融市場、資産価格、実体経済の負の相乗作用がいつどのように終息に向かうのか、なお帰趨(きすう)がみえない」と指摘。審議委員から「市場では次のリーマンを意識するであろう」(須田美矢子委員)と警戒する声もあがったが、この段階では実体経済への影響がはかりきれず、利下げは議論の対象にならなかった。

ところが10月末の決定会合にかけて実体経済は明らかに悪化し、議論は利下げへと傾く。円高・株安も深刻で「(利下げを)出し惜しみしているとか、みられるべきではない」(亀崎英敏委員)といった意見が増えた。一方で「利下げが金融市場の機能を阻害し、かえって資金の流れを悪くする可能性についても十分配慮する必要がある」(山口広秀副総裁)との慎重論もあった。

結局、7年7カ月ぶりとなる利下げを決めるが、利下げ幅をめぐり「0.2%」と「0.25%」の2案で激論に。短期金利の上限となる補完貸付制度の金利も「0.5%」と「0.4%」の2案が出て、白川総裁は「(政策で)4種類の意見が出たのは初めて」と語った。最後は議長の白川総裁が「0.5%から0.3%への利下げ」を提案。それでも票は4対4に割れ「議長決定」という異例の採決となった。

その後も経済情勢は厳しさを増し、12月19日には7対1の表決で0.1%への追加利下げに踏み切った。ただ賛成者からも「ゼロに引き下げると、本当に市場機能をなくすことになるので、これ以上の利下げはあり得ない」(中村清次委員)、「多少ちゅうちょせざるをえない」(山口副総裁)との意見も出た。

リーマン破綻直後の力点は金融システムの安定に置かれた。金融機関同士の疑心暗鬼でドルの調達金利が急上昇していることへの対処が急がれ、9月18日に臨時の決定会合を開いた。執行部は、欧米中央銀行がドル供給で協調する計画を説明。白川総裁が「邦銀の外貨繰りがここにきて急に逼迫しているという印象を絶対に与えないようにする」と対外説明に気を配る場面もあった。

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