2019年3月22日(金)

米大統領選候補 民主はや前哨戦 リベラル色強まる

トランプ政権
北米
2019/1/28 16:26 (2019/1/28 21:05更新)
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【オークランド(米カリフォルニア州)=河浪武史】2020年の米大統領選に向け、トランプ大統領に対抗する民主党員の立候補表明が相次いでいる。27日には移民家系の女性上院議員、カマラ・ハリス氏(54)が「国民皆保険を導入する」と早々に公約を発表し、前哨戦が激しくなっている。バイデン前副大統領(76)も出馬を検討し、予備選の候補者は10人を超すのが確実だ。

27日、カリフォルニア州で支持者集会を開いたハリス氏=AP

「この国の指導者は言論の自由を封殺し、民主主義を脅かしている。米国人とは何だろう。これは我々の米国ではない」。ハリス上院議員は27日、生まれ故郷のカリフォルニア州オークランドで大統領選に向けた初の支持者集会を開き、トランプ氏を強く批判しながら予備選出馬を宣言した。

上院1期目の同氏は母親がインド系、父親がジャマイカ系の移民で、支持者は「米国が持つ多様性の象徴」(36歳女性)とみる。人種差別や女性蔑視と取られかねない発言を繰り返すトランプ氏とは対照的な立ち位置だ。

ハリス氏は議会経験は浅いがカリフォルニア州司法長官を務めるなど公職の経験は豊富だ。連邦最高裁判事に指名されたカバノー氏を公聴会でやり込めた動画が、ツイッターで100万回以上も再生されるなど、リベラル派の注目を集めている。

大統領選は20年11月。20年1月に始まる予備選までも約1年あるが、27日の演説では、国民皆保険制度の導入や中間層減税などの選挙公約をいち早く表明した。16年秋の大統領選では、ヒラリー・クリントン元国務長官が初めて支持者集会を開いたのが15年6月。今回の選挙戦は半年も早く本格始動しつつある。

民主党からの大統領選の立候補表明は、ハリス氏を含めて既に8人。オバマ前政権で住宅都市開発長官を務めたフリアン・カストロ氏(44)らが名を連ねる。8人中、女性は過去最多の4人。女性のエリザベス・ウォーレン上院議員(69)も18年末に立候補を表明し、所得や資産の格差是正を政策の柱に掲げて「超富裕層新税」を検討中だ。

同氏の構想では「0.1%の超富裕層」が対象で、収入ではなく資産に直接課税する。税率は5千万ドル超の資産に対しては年2%、10億ドル超の部分に年3%だ。ハーバード大元教授のウォーレン氏は手厳しい富裕層批判で知られ、経済格差に不満を持つ労働者層や若者層の支持がある。ただ、同税制が実現すれば、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏は離婚に伴う財産分与前で、1年目に40億ドル強の納税が必要になるという。

例年になく早い時期に立候補表明が相次いでいるのは、長い選挙戦を繰り広げることで知名度と資金力を高める必要があるからだ。トランプ氏はロシア疑惑で弾劾リスクを抱え、政府機関の一部閉鎖で政権運営の混乱も極まる。民主党にとっては「敵失」が目立つ局面だが、それでもトランプ氏に圧勝するだけの有力候補は見当たらない。

バイデン氏は米世論調査で30%と高い支持率があるものの、16年の大統領選時ですら高齢などを理由に出馬しなかった。「民主社会主義」を標榜するバーニー・サンダース上院議員も「私がトランプ氏を倒すベストの候補者なら、立候補するだろう」と話すが、クリントン氏に予備選で屈した「敗者」であり、77歳と高齢でもある。

16年の大統領選では共和党から16人もの立候補者が出て、乱戦がかえって注目を集めて「トランプ旋風」にまでなった。そのトランプ氏は共和党から立候補しながらも、自由貿易協定(FTA)を批判して民主党の支持基盤だった白人労働者の支持を獲得。本命視されたクリントン氏の敗北につながった。

民主党の乱戦は、中間派を取り込む中道に候補者を向かわせるのではなく、逆にリベラル色を一層強める可能性がある。サンダース氏ら急進左派は、経済格差に不満を持つ中低所得層らの支持を得る。ハリス氏が掲げた国民皆保険は急進左派の中心政策で、穏健派とみられてきた同氏も左派の主張を取り込む。

ただ、医療費が高額な米国では、増税がなければ日本のような国民皆保険は実現できない。民主党もトランプ氏らと同じくポピュリズム(大衆迎合主義)の色彩を強めており、選挙戦が進めば整合性を欠く政策に批判が集まる懸念がある。

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