ドイツ、石炭火力発電全廃へ 38年まで政府委合意
【ベルリン=石川潤】ドイツの政府委員会は26日、同国の石炭火力発電を2038年までに全廃することで合意した。気候変動に対応するため、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する。計画実行には政府や州政府による正式決定が必要だが、全廃へ大きく動き出した。地元メディアなどが相次いで報じた。

産業界や環境団体、学識者などが参加する政府委員会は25日から夜通しで協議し、26日朝に合意した。石炭火力からの撤退で影響を受ける州に対して20年間にわたり総額400億ユーロ(約5兆円)を支援することでも合意したもようだ。
石炭火力発電はドイツの発電量の約4割を占めており、段階的に廃止する。22年までの原子力発電廃止も決定済みで、石炭火力の廃止には代替電源確保が課題になる。
天然ガスのロシアからの輸入拡大は米トランプ政権から強く批判されている。再生可能エネルギーの活用は広がっているが、電気料金が高止まりすれば経済にも影響が広がりかねない。
ドイツの石炭火力発電は環境破壊につながるとして自然保護団体が強く反対してきた。世論調査でも国民の多くが廃止を求めていた。