2019年4月26日(金)

越境ECに国際ルール 20年導入へ協議、中国も参加
76カ国・地域、データ流通など論点

2019/1/25 22:41
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【ダボス(スイス東部)=細川倫太郎】日米欧など76カ国・地域は25日、電子商取引(EC)の国際ルールづくりを始めることで合意した。買い物履歴といったデータの国境をまたぐ移動のあり方などが焦点で、2020年の導入をめざす。中国も参加を表明したが、デジタル経済の覇権争いが絡んで各国・地域の思惑は交錯しており、協議は難航も予想される。

25日、スイス・ダボスで開かれたWTO有志国会合=共同

25日、スイス・ダボスで開かれたWTO有志国会合=共同

世界貿易機関(WTO)に加盟する有志国が25日にダボスで非公式閣僚会合を開き、「ECの交渉開始の意思を確認する。可能な限り多くの参加を得て高い水準の成果を目指す」との共同声明を発表した。会合には日本から世耕弘成経済産業相が出席した。

世界の越境ECは拡大が続き、市場規模は20年に1兆ドル(約110兆円)近くに達するとの予測もある。だが世界共通のルールはない。国や地域で異なる規制への対応は企業の負担が大きく、事業拡大を阻害しているとの指摘が根強い。

今夏をメドに協議に本格着手するルールづくりでは、越境ECに伴う企業活動や消費者から生まれるデータの国をまたぐ移動が大きな論点だ。日米は原則として自由な流通を主張し、自国などに持ち出して分析できるようにすべきだと訴えている。国家による企業秘密の開示請求を禁止することも求めようとしている。

念頭に置くのは中国などで広がるデジタル保護主義への対抗だ。中国は外国企業が国内で得た顧客情報を国外に持ち出すことを禁じたり、プログラムの設計図にあたるソースコードの開示を要求したりしている。サーバーを自国内に置くことも求めている。

18年5月に域外への個人データ持ち出しを原則禁じる「一般データ保護規則(GDPR)」を施行した欧州連合(EU)もプライバシー保護を優先する姿勢が強く、日米とは温度差がある。

このほか映画や音楽などコンテンツの取引の活性化に向けた関税の撤廃、越境EC拡大によって作業が増えている通関の効率化につなげる電子署名の推進なども主要テーマになる。早ければ20年にも合意できたルールから有志国の間で適用を始める。

中国は国際ルールづくりの枠組みに消極的とみられていたが、参加を決めた。同国代表は25日の会合で「ECの発展が経済成長に必要だ」と発言。データの自由な流通には反対の立場だが、「通関業務の簡素化については前向き」(協議筋)という。

中国にはネット通販の取扱高が世界有数の規模のアリババ集団がある。自国に有利なルールづくりへ議論の主導権を狙うとともに、実利を得られる国際的な取り決めには参加する構えとみられる。

164カ国・地域が加盟するWTOでは、先進国や途上国の利害が対立し、全体では新しいルールづくりが進まなくなっている。アゼベド事務局長は「すべての国の合意が必要なルールもあるが、そうではないタイプもある。まず有志国で交渉するのは良い流れだ」と述べている。

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