2019年8月20日(火)

教員の残業上限「月45時間」 実現のハードル高く

2019/1/25 20:52
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教員の働き方改革を巡り、中央教育審議会は25日、総会を開き、教員の残業時間の上限を原則「月45時間以内」とする指針の順守を柱とした答申を文部科学相に提出した。既に勤務時間の削減に取り組んでいる学校も多いが、新しい業務が増え、部活動の負担はなかなか減らない。教員や保護者、地域の意識にも課題があり、指針の内容を実現するハードルは高い。

指針は残業時間の上限の目安を原則月45時間、年360時間と規定。特別な事情があっても月100時間未満、2~6カ月の月平均で80時間、年720時間までとした。違反しても罰則はない。

「月45時間以内に減らすのはいばらの道」。島根県雲南市の公立小学校の男性教諭(52)は眉を寄せる。午後4時まで授業で、その後は会議。翌日の授業の準備や保護者への対応は5時以降になり、残業時間は月40時間超えが当たり前だ。

2020年度に実施される小学校の次期学習指導要領では英語の教科化、プログラミング教育の必修化が盛り込まれ、「業務は年々増えるが教員が足りない」と男性教諭はこぼす。

答申は、学校が担ってきた14の業務について▽教員が担うべきもの▽地域や保護者と役割分担、連携するもの――などと整理。負担の大きい部活動は地域のスポーツ団体、外部の指導員などと連携を進めるべきだとした。スポーツ庁の運動部活動の指針を守り、週2日以上の休養日を設けることも求める。

埼玉県越谷市立平方中学校では、夏季の部活動終了時間は午後6時30分。大西久雄校長は「部活動指導だけで1日2時間は残業になる。土日に大会が入ることも多く教員の負担は大きい」。全部活の休養日を設けたが、「減らしすぎると、大会に向かって頑張る生徒の期待に応えられない」と悩んでいる。

大阪府のある公立中も部活動の休養日を設け、他の業務も見直して直近1年間の残業時間を月平均8時間減らした。それでも依然として残業は45時間に収まらず、男性教頭は「このままの取り組み方で上限を守るのは厳しい」と話す。

教員の時間外勤務は教職員給与特別措置法(給特法)で、災害対応など4項目を除いて「自発的な勤務」と位置付けられてきた。残業代は原則支払われず、代わりに残業した時間にかかわらず基本給の4%が支給される。

「教員の間には『長く働いているほど熱心な先生』という考え方がまだある」と横浜市立伊勢山小学校の持丸隆一校長は指摘する。

答申は、給特法が教員の勤務時間管理の意識を薄れさせていると指摘。保護者や地域が学校に過剰な要求をしないよう、学校の役割について明確なメッセージを出すことも文科省に求めた。

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