米とタリバン、駐留軍撤収で大筋合意 停戦内容に溝も - 日本経済新聞
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米とタリバン、駐留軍撤収で大筋合意 停戦内容に溝も

【ニューデリー=黒沼勇史】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンと米国の和平協議が大詰めを迎えている。両者は24日までにアフガン駐留米軍の撤収や停戦で大筋合意した。ただタリバンはアフガン政府との交渉について難色を示しており、最終合意は持ち越された。「米国史上最長の戦争」とされるアフガン駐留に終止符が打たれるかが注目されている。

中東カタールで21日に始まった和平協議には、タリバンから政治部門幹部ら、米国からはハリルザド・アフガン和平担当特別代表らが出席し、パキスタンとカタールもオブザーバーを派遣した。25日も協議を続行して最終的な合意を目指す。

タリバン側の出席者は25日未明、日本経済新聞の取材に対し「25日に合意を公表する可能性がある」と述べた。米軍撤収については「特定の時期を決めていないが1年以内との認識で双方が一致している」と話した。米国は約1万4千人を駐留させており、トランプ米大統領は2018年12月、規模を半減するよう国防総省に指示していた。

米国はこれまでパキスタンを仲介役としてタリバンに接触し、アフガン和平の実現を模索してきた。トランプ政権は18年7月にタリバンとの直接協議に乗り出し、米軍撤収と引き換えに停戦合意を迫る取引を持ちかけてきた。タリバンは外国軍の撤収が和平の第一条件と主張しており、両者の思惑は一致していた。

旧支配勢力タリバンは2001年の米同時テロまで政権を握り、米軍の空爆で崩壊した。ガニ大統領率いる現在のアフガン政府を「米国のかいらい政権」と見なし、アフガン政府との直接協議には抵抗してきた。今回も合意声明文に「アフガン政府との即時交渉開始」を盛り込むよう米国は求めるが、タリバン側は「我々は同意していない」としており、両者の溝は埋まりきっていない。

アフガンの米軍駐留は既に18年を数え、米国史上最長の戦争と呼ばれる。トランプ氏はシリアからの米軍撤収も表明しており、アフガンからの完全撤収も探ってきたもようだ。

米軍は空爆や訓練でアフガン政府軍を支援してきたが、戦闘能力は高まっていない。政府支配地域は全国土の56%にとどまり、縮小傾向にある。米軍が撤収すれば、タリバンが攻勢を強める懸念も残る。また中東の過激派組織「イスラム国」(IS)など他の武装組織が勢力を広げるリスクも高まりかねず、今回の和平合意が、和平とは正反対の結果を引き起こす端緒になる可能性も否定できない。

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