2019年2月22日(金)

エスプレッソにピザ、鉄人「ロボ」シェフ続々登場
Early Stage 米国発

コラム(ビジネス)
スタートアップ
2019/1/31 12:30
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米国の食品業界ではロボットの活用が活況を呈している。ベンチャーキャピタル(VC)から多額の資金を調達するスタートアップ企業も現れており、中にはユニコーンに成長する企業も出現している。テクノロジーの進歩によるオペレーションの脱人力化は、人間の労働力を奪うのか、はたまた人間に新たな顧客体験を提案してくれるのか。

 新コーナー「Early Stage 米国発 」では、米サンフランシスコに拠点を置く有力ベンチャーキャピタルのScrum Venturesの協力を得て米国の最新事情と注目スタートアップ企業の姿に迫ります。随時掲載。

■Cafe X Technologies ~ バリスタはロボット

サンフランシスコの「Cafe X」。ロボットアームがおいしいコーヒーを提供してくれる

サンフランシスコの「Cafe X」。ロボットアームがおいしいコーヒーを提供してくれる

昨年、サンフランシスコで話題を集めたのが、ロボットのバリスタが入れたてのコーヒーを提供してくれる「Cafe X Technologies」である。香港のサイエンスパーク店に続き、2017年に米国1号店を、サンフランシスコにオープンした。

コンパクトな無人店舗内は、WMF社製の2台のエスプレッソマシンと、1台のロボットアームのみで構成されている。注文は、店舗に備え付けられたiPadか、Cafe X専用のスマホアプリを使って行う。受取は注文時にスマートフォンに表示された4桁のPINコードを打ち込むだけのため、事前に注文しておけば立ち寄るだけで待ち時間もかからない。コーヒ豆も三種類から選べる上、1杯のコーヒーを入れるのにかかる時間は20秒ほどだ。

ロボットカフェという話題性だけでなく、ペイパルの共同創業者であり、投資家としても有名なピーター・ティールが運営する「ティール・フェローシップ(Thiel Fellowship)」(若者に出資する代わりに起業させるプログラム)にも選出されている。これまでの資金調達額は、1450万ドルに到達し、18年8月時点でのバリュエーション(企業価値の評価金額)は、3570万ドルと言われている。(https://cafexapp.com/)

■Chowbotics ~ サラダボウルを1分で

ロボットが作ってくれるのは、コーヒーだけではない。14年にカリフォルニアで創業した「Chowbotics」は、サラダを調理してくれるロボットを開発している。

サラダボウル製造ロボットは小さな自販機のような形状をしている(Chowboticsのサイトより)

サラダボウル製造ロボットは小さな自販機のような形状をしている(Chowboticsのサイトより)

主力製品である「Sally」と呼ばれる調理ロボットは、22種類の材料から好みの材料を選択するとサラダボウルを1分とかからずに作ってくれる。調理可能なサラダの種類は1000種類以上にのぼるという。自動販売機と同様、24時間稼働してくれる上、自分の好みにあったサラダにカスタマイズできることも特徴の一つだ。サイズも縦横、各30インチ(約76センチメートル)と置き場所を選ばないため、既にレストランやスーパー、ホテルなどで導入されている。

直近では、18年6月に、Foundry Groupなどから1100万ドルを調達している。(http://www.chowbotics.com/)

■Zume Pizza ~ ピザ焼きでユニコーンに

ピザを焼いてくれるロボットを開発する、「Zume Pizza」は、15年に創業したばかりだが、既にユニコーン企業に成長している。ソフトバンクグループから18年11月に3億7500万ドルを調達し、バリュエーションは12億5000万ドルから22億5000万ドルとも言われている。

オーブンを積んだZume Pizzaのトラック。熱々のピザを顧客に届ける。

オーブンを積んだZume Pizzaのトラック。熱々のピザを顧客に届ける。

特許取得済のトラック内にロボットを設置することで、移動式オーブン(モバイルキッチン)を実現。到着時間に合わせてピザを焼き上げて宅配してくれるため、熱々のピザを顧客に提供可能だ。

18年6月にはロボットアームを使用した全自動のピザキッチンも公表し、最も注目を集めているフードテック企業の一つである。今後は本技術を活用し、ピザ以外の分野にも進出する予定という。(https://zumepizza.com/)

■Root AI ~トマトの収穫を最適化

コスト(主に人件費)削減という側面だけでなく、待ち時間の削減やパーソナライズといった、従来の顧客体験を一変させるフードロボットが注目を集めているが、人工知能(AI)の向上により、人間の能力以上の力を発揮できるロボットも開発されている。

18年に創業し、ボストンに本社を構える「Root AI」は、農業用のピッキングロボットを開発している。主に「屋内」農場向けのピッキングロボットだが、カラー映像と3D深度情報を収集するために、複数のカメラが搭載されている。そのカメラから得られた情報から作物の状態を分析し、剪定(せんてい)の必要性や、作物の熟成度、サイズ、品質の等級などを評価してくれるという。疲れ知らずのロボットにより、作物を連続的かつ、人間よりも効率的に栽培・収穫することが可能だ。

18年8月にシートラウンドでFirst Round Capitalなどから230万ドルを調達している。製品は19年に販売開始の予定。まずはトマトから始め、世界中の屋内農場への拡大を目指しているという。(https://root-ai.com/)

■開発競争はますます加速

テクノロジーの進歩により、今後もますます特定の役割を担うロボット開発が加速することが予想される。同時に資本力を持つ大手企業との開発競争も激化するが、単なるオペレーションの自動化という側面だけではなく、「カスタマーエクスペリエンス向上のためのロボット活用」といった視点がこれからは求められるのではないだろうか。

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