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球場が呼んでいる(田尾安志)

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30代の楽天新監督、遅咲きに懸ける船出

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2019/1/27 6:30
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1月13日、同志社大野球部OBによる楽天・平石洋介新監督の激励会が京都で開催された。平石と同じく同志社大出身で発起人の一人を務めた私は、彼とは単なる先輩、後輩の間柄にとどまらない、浅からぬ縁で結ばれている。

2004年秋のことだった。翌年に楽天の初代監督を務めることが決まっていた私は、ドラフト会議を前にある人から連絡を受けた。私が大学から中日に入る際に担当スカウトだった法元(ほうもと)英明さんだ。

「プロでやりたいと言っているやつがいるんだが、楽天で採ってくれないか」。紹介されたのが、当時トヨタ自動車にいた平石だった。「レギュラーになる力はありますか」と聞くと、「ない」と法元さん。「ないんだったら、トヨタでやる方が安定しているからいいんじゃないですか」と言うと、「お金じゃなくて、とにかく一回プロで試したいと言っている」。あの法元さんがそこまで言うのならと、一番下のドラフト7巡目で取った。

9日、新人合同自主トレを視察する平石監督。これまでコーチや2軍監督として研さんを積んできた=共同

9日、新人合同自主トレを視察する平石監督。これまでコーチや2軍監督として研さんを積んできた=共同

現役で実績を残せなくても…

05年2月の沖縄・久米島キャンプで練習を見ると、打撃はいかにも非力で、初めのころは私の方が飛ばすほどのレベルだった。外野手だったが肩は弱く、足も速くない。「これでよくプロに入りたいと言ってきたな」というのが率直な感想だった。その年は25試合に出ただけで、打率は1割7分8厘。最も多く出たのが11年の35試合で、結局その年限りで現役を引退した。7シーズンの通算成績は172打数37安打の2割1分5厘、本塁打は1本。やはり法元さんの目は正しかった。

結果が出ない選手というのは打撃の形ができていないケースがほとんどで、形さえよくなれば伸びる可能性がある。その点、平石のフォームは決して悪いわけではなかった。それでいて結果が出ないのは、プロでやっていくだけのパワーや瞬発力が備わっていないということで、残念ながら伸びしろがないことを表していた。

法元さんに平石のプロへの橋渡しを頼んだのは、トヨタ自動車でコーチをしていた山中繁君。彼自身、平石からプロ志望を告げられたときは「長い目で見て、トヨタの方が生涯年収が上じゃないか」と話したという。それでも平石は「お金じゃない。とにかく一回トライしてみたい」。この熱意に山中君も法元さんもほだされた。私もそうかもしれない。

新球団として産声を上げたばかりの楽天はスカウト陣も急ごしらえ。他球団のような明確なドラフト戦略があったわけではなく、「6人取るのも7人取るのも変わらない」という感覚で指名したのだった。楽天の創設初年度というタイミングでなければ、はたしてプロに進めていたかどうか。そんな平石がコーチや2軍監督として研さんを積み、はては1軍の監督にまで就いてしまうのだから、人生はわからないものだ。

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