所有者不明の土地増やさない 民間有識者が最終報告 国交省

2019/1/25 12:00
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所有者が不明な土地の活用制度を検討していた民間有識者の研究会(座長・増田寛也元総務相)は25日、最終報告を公表した。土地を放棄したい人と土地を活用したい人をマッチングしたり、当面活用が見込めない土地を所有者に代わって管理したりする2つの組織の設置を促した。提言を受け、国土交通省は2020年度に全国で土地の受け皿を育成するモデル事業を始める方針だ。

都市部でも現在の所有者が把握できない物件がある

所有者不明の土地は16年時点で約410万ヘクタールと、九州本島の面積を上回るほどあるとされる。所有者の高齢化や相続人の不在などで土地の放棄を希望する人は今後も増えると見込まれる。

今回の提言は、今後、所有者が不明になる土地を増やさないための仕組み作りに力点を置いた。遠方に住む親から土地を相続したが手入れが難しいなど「予備軍」を抑制する。

具体的な対処は2つ。一つが土地を放棄したい所有者と、活用を望む事業者とのマッチングを通じた土地活用だ。NPOなど「公的色彩を持った機関」を業務の担い手として想定し、所有者から手数料を徴収して業務を機能させる。

手数料だけで運営が難しいことも視野に、国交省はマッチング業務の担い手への助成金など支援の仕組みも検討する。土地の受け皿となる組織を育成し、課題を探るモデル事業を数カ所選ぶ。20年度の概算要求で必要経費を計上する方針だ。

もう一つの仕組みは当面の活用が見込めない土地の管理だ。受け皿の組織が所有者から手数料を受け取り、そのお金で土地の手入れや管理をする。自治体や国との間で受け入れの調整もする。

最終報告では所有権の放棄を認める制度については盛り込まれなかった。ただちに利活用が困難な土地は国や自治体が取得・管理に合意しない場合、これまで通り所有者に帰属する。所有権は土地の適正な管理や税金の支払いなど、所有者の義務もセットになっている。一方的に放棄を認めてしまえば、税逃れなどにもつながる懸念がある。

一方、災害や事故などで危険な状態になり、所有者による管理が難しいケースも想定される。法務省は所有者不明土地に関する研究会で、所有権の放棄の可否など制度のあり方を検討している。

国交省は所有者には土地を適切に管理する責務があるとした上で、責務を果たさず周辺に悪影響が出ている場合に自治体などが対応しやすくするため、所有権を制限する方針を固めている。来年の通常国会に土地基本法改正案の提出を目指している。

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