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天然ゴム、相場反転で緩む危機感 市況対策先送り
商品部 桝田大暉

2019/1/29 5:30
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中国景気減速のあおりで2018年に下落した天然ゴム相場が急反発している。主産地の東南アジアで天災が相次いだほか、米中関係が改善するとの期待を受け、指標となる東京商品取引所の先物は21日に8カ月ぶりの高値をつけた。ただ東南アジアの生産国が検討していた輸出削減策は相場反転で見送られ、市況対策の機運は早くも緩んだ。需要面に目を移せば最大消費国の中国で自動車販売が減速傾向だ。需給緩和のリスクはなおくすぶる。

天然ゴムは東南アジアと中国による取引が多い

天然ゴムは東南アジアと中国による取引が多い

天然ゴム相場は世界需要の約4割を占める中国の景気に左右されやすい。米中貿易摩擦が深刻化した2018年6月以降、中国の自動車タイヤ需要が鈍るとの懸念が拡大。東商取の先物(指標品のRSS)は18年11月21日に1キロ152.9円と2年ぶり安値をつけた。

その後は上昇基調に転じ、1月21日には191円と約8カ月ぶりに190円を上回った。2カ月で25%上昇した計算だ。米中首脳会談などをきっかけに、両国の通商交渉が進展するとの期待が拡大したのが背景。さらにインドネシア産地が津波、タイ産地が台風に見舞われ、ゴム樹液の採集や輸送への影響が出るとの懸念が強まった。

「供給減観測をきっかけにした投機筋の買い戻しが上昇を支えた」とサンワード貿易の松永英嗣氏は指摘する。東商取ではファンドなど非当業者による天然ゴム(RSS)のポジションが18年11月末時点で約3400枚の売り越しだったが、1月23日時点で約3000枚の買い越しに転じた。

潮目が変わったようにみえる天然ゴム相場だが、上昇が続くとみる向きは多くない。市場関係者が注視するのが東南アジア産地の生産動向だ。

天然ゴム生産量で3割を占めるタイでは現物価格(RSS)で1キロ50バーツ前後(約170円)が生産コストとされる。18年11月下旬には同43バーツ前後に現物相場が下がり、生産国に危機感が強まった。18年11月下旬、タイ政府は天然ゴム農家の救済に向けて総額175億バーツ(約610億円)の救済金支給を表明。12月中旬にはインドネシア政府も市場価格より高値で農家から買い上げると表明した。

さらに両国に世界生産量で6位のマレーシアを含めた3カ国が会合を開き、輸出削減案に動くとの情報が広がった。ゴム専門商社、加藤事務所(東京・中央)の加藤進一社長は「生産者が悲鳴を上げる水準まで市況は低迷していた。輸出削減案が浮上するのは当然の流れだった」と指摘する。

しかし市場の予想を上回るペースで相場が急反発したため、生産国が目指していた輸出削減の緊急性が薄まったとの見方が出ている。タイ、インドネシア、マレーシアの3カ国会合は1月下旬まで続けられたものの、最終的に具体的なテコ入れ策は決まらないまま、立ち消えとなった。

「相場の急反発で東南アジア諸国の危機感は緩んだ。現時点では市況テコ入れ策を決めなくてもいいとの判断だろう」と加藤社長は分析する。

需要面の不安材料も残る。中国の18年の新車販売台数は28年ぶりの前年割れとなった。加藤社長は「貿易摩擦の最終的な解決には時間がかかり、タイヤ向け需要の減少はしばらく続く」としたうえで「天然ゴムの上値は重く、さらなる上昇は考えにくい」と指摘する。相場下落と同様に上昇ピッチも急激だっただけに、揺り戻しが来るタイミングは遠くないかもしれない。

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